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「対象を絞って売り込めば、ファンは獲得できる」3代目社長が見出した「森の京都」の可能性

京都新聞 / 2024年8月6日 6時0分

「自然豊かなキャンプ場がたくさんあるので孫と回りたい」と楽しみにする井上さん(亀岡市追分町・森の京都DMO)

 「懐かしい日本の原風景が広がる。歴史も深く、風習もよく残っている」。幼少期に帰省して川遊びなどを楽しんだ京都府の加茂町(現木津川市)を思い出した。

 井上敬章さん(65)=大阪府吹田市=は6月、一般社団法人「森の京都地域振興社(DMO)」の3代目社長に就いた。観光振興や移住促進に取り組むエリア(亀岡、南丹、京丹波、福知山、綾部の5市町と京都市右京区京北)の印象についてそう表現する。

 「都市部では経験できないたくさんの資源がある。しっかり対象を絞って売り込めば、ファンは獲得できる」と、体験型の商品開発や中高生らの教育旅行に可能性を見いだす。

 1981年に旧国鉄入社。人の役に立てるインフラ関連で就職しようと思い浮かんだのが、国鉄マンだった祖父と父の背中だった。

 JR西日本に移り、福岡支社長などを務めた。人事など管理部門が長く、京都で仕事をするのは2019年に嵯峨野観光鉄道(京都市右京区)の社長に就任したのが初めてだった。

 組織運営で心がけているのは「心理的安全性」だ。JR西は巨大組織だけに、風通しの悪さも経験した。自分の考えや気持ちを組織の誰とでも率直に言い合える環境を理想に掲げる。

 その信念は、同観光鉄道での経験で揺るぎないものになった。社長就任の直後、新型コロナウイルスが猛威を振るい、観光客の姿が消えた。逆境の中、社員たちがさまざまな提案をしてくれた。

 沿線風景を360度楽しめる動画を有料配信したり、秋の風物詩の沿線ライトアップを磨くのにクラウドファンディングで資金を集めたり。「アイデアを否定せずに社員の話を聞いて、できるだけ生かそうとした」結果、幾つか実を結んだ。

 森の京都DMOも非常勤を含めて20人ほどの小さな組織ながら、行政や旅行会社の出身、大都市からのUターンなど、多彩な人材がそろうと信頼を寄せる。「職員を信じて任せれば、主体的に力を発揮してくれる。社長として方向性は打ち出すが、私の仕事は最後の決断と責任を取ること」と、終始にこやかだった表情を引き締めた。

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