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社説:公金詐取の疑惑 自民の金権体質またも

京都新聞 / 2024年8月8日 16時0分

 またしても「政治とカネ」の不祥事である。強まる一方の国民からの不信を、自民党は危機感を持って受け止めるべきだ。

 自民の広瀬めぐみ参院議員が、公設第2秘書の給与を勤務実態があるかのように装ってだまし取った疑いが浮上した。東京地検特捜部が東京・永田町の議員会館事務所などを家宅捜索した。

 第2秘書は2022年12月から23年8月まで在籍し、第1秘書の妻が務めていた。この間、国から給与として総額300万円台後半が支払われたという。徹底した事実解明を求めたい。

 3月に週刊誌が疑惑を報じた際、広瀬氏は「事実無根」とし、第2秘書は平日はリモートワークをし、休日は自身を駅に送迎するなどしていたと反論していた。だが、実際には業務がほとんど行われず、事務所関係者も「勤務実態はない」と話しているという。

 虚偽の説明なら悪質きわまりない。公設秘書は国家公務員特別職の身分であり、血税を受け取っている。公金詐取は断じて許されない。広瀬氏は弁護士であり、違法性を認識していた疑いも高い。まずは説明責任を果たすべきだ。

 国会議員による秘書給与の詐取は、過去に繰り返されてきた。

 04年の法改正で給与は議員事務所ではなく、秘書本人の口座に直接振り込む制度に変わった。今回、広瀬氏は事務所関係者が引き出した現金を受け取っていたとみられる。

 先月には、選挙区内の有権者に秘書を通じて香典を渡したとして、堀井学衆院議員が特捜部の強制捜査を受けた。香典額は少なくとも数十万円で、違法性を指摘されても提供を指示したとされる。

 特捜部は裏金事件の捜査で不正を把握したという。安倍派だった堀井氏は5年間で2千万円余りの還流金を受けており、香典のほか、スーツ代やサウナ代などの原資になった疑いも浮上している。

 両氏は自民を離党したが、党の責任は極めて重大である。同様の給与詐取や香典配布はないのか。党内調査や対応策を示すべきだ。

 自民は先の通常国会で裏金事件の再発防止として、改正政治資金規正法を成立させた。だが、事件の真相や裏金の使い道の解明はほぼ手つかずのまま。企業・団体献金、政治資金パーティー開催、政策活動費など「不正の温床」を温存した。

 広瀬、堀井両氏にも通底する自民の金権体質を断ち切る改革には、ほど遠いと言うほかない。

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