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社説:「臨時情報」終了 地震の備え切れ目なく

京都新聞 / 2024年8月21日 16時5分

 課題を洗い出し、大規模地震に向けた防災、減災対策へとつなげたい。

 南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)による呼びかけが終了した。宮崎県沖の日向灘を震源とする地震の発生を受けて8日に初めて発表され、国は1週間、普段通りの生活を送る中で備えの再確認をするよう求めた。

 その後、特異な現象は観測されなかったが、「30年以内に70~80%」とされる巨大地震発生の危険が遠のいたわけではない。

 注意情報は京都、滋賀を含む1都2府26県707市町村が対象となった。どう対応するかは自治体や企業、個人の判断とされた。

 大きな被害が想定される太平洋沿岸の自治体は避難所を設けたり、高齢者等避難を発令したりした。お盆で帰省や旅行を計画していた人も多い中、東海道新幹線は沿岸部の区間で減速し、一部の特急なども運休した。

 和歌山県白浜町では避難経路や誘導の再確認ができるまでイベントを中止し、海水浴場を閉鎖した一方、高知県のよさこい祭りや徳島県の阿波おどりは避難場所の確保など対策を講じた上で予定通り開催された。いずれも安全確保を念頭に置いた判断といえよう。

 ただ宿泊施設ではキャンセルも相次ぎ、多額の損失が生じた。国による社会的、経済的な影響の検証はもちろん、立地や業態に即して妥当な対応だったのか、それぞれ点検すべきだろう。

 国の情報発信の在り方でも課題が残った。臨時情報では巨大地震のリスクについて、「普段より数倍可能性が高くなっている」「数百回に1回程度」と発信した。地震予知の情報と誤解する人もおり、分かりやすい伝え方を探ることが欠かせない。

 より危険度が高い「巨大地震警戒」が発表された場合の備えも急務だ。津波がすぐに到達する地域に対し、1週間の事前避難を求めることになり、かつてない大規模移動で混乱しかねない。

 南海トラフ関連だけでなく、日本のどこででも大地震は発生しうる。他人事ととらえずに、非常事態に備えた想定と点検に取り組んでほしい。

 京都府は4月、京都で最大の被害をもたらすとされる花折断層帯地震の被害想定を見直した。今後、府域を通る10断層を見直すという。

 住宅の耐震化など、被害を最小限に抑えるための抜本対策を進める契機にもしたい。

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