社説:京都国際、初優勝 甲子園に刻んだ新たな歴史
京都新聞 / 2024年8月24日 16時0分
「束になって戦う野球」を目指したチームが有言実行で、見事に栄冠をつかんだ。
全国高校野球選手権大会で京都国際が関東第一(東東京)を延長タイブレークの末に2-1で破り、春夏通じて初優勝を果たした。
夏の大会で京都勢が頂点に立つのは、1956年の平安(現龍谷大平安)以来68年ぶりだ。甲子園球場が開場100周年を迎えた年に、高校野球史に新たな1ページを刻んだ。
京都国際は、韓国系の民族学校をルーツとし、2004年に学校教育法上の「一条校」となり、現校名に変更した。
21年春の選抜大会で初出場をつかみ、同年夏にはベスト4に進出した。今春は初戦敗退となったが、今大会は3年生エースと2年生の両左腕を軸に、守り抜く野球を貫き、決勝も堅守で再三のピンチを乗り切った。
3度目の夏の甲子園で全国制覇を成し遂げたが、練習環境が恵まれているわけではない。
東山山麓にある学校敷地は狭く、野球部グラウンドは左翼67メートル、右翼60メートルと短い。外野の守備練習もままならず、練習試合も難しい。そんなハンディを、最新の理論を取り込んだトレーニングや実戦を想定した練習でカバーしたという。
韓国語の校歌も注目を集め、勝ち進むにつれ、韓国のメディア取材が相次いだ。尹錫悦大統領は「野球を通じて韓日両国がより親しくなることを願う」と祝賀メッセージを発表した。
思わぬ反響が広がった半面、高校野球は大きな転換点に立っている。
猛暑日が続く夏の大会の環境は厳しさを増している。熱中症対策として、試合を午前中と夕方に分ける「2部制」が今大会初めて導入された。
試合の五回終了後に10分間の休憩を取る「クーリングタイム」や、期間中の休養日の設定、「1週間に500球まで」とする投手の球数制限、延長戦は無死一、二塁から攻撃を始める「タイブレーク制」実施など、多くの改革が重ねられてきた。
それでも、「危険な暑さ」と警戒が呼びかけられる中、十分とは言い難い。2部制は大会初めの3日間だけで、試行的にとどまった。大会日程や終了時間の制約もあるというが、高校生の健康を第一に考えるべきだ。
日本高野連は、試合のイニング数を9回から7回に短縮する案の検討を始めた。18歳以下の国際大会ではすでに採用されており、妥当ではないか。
炎天下の甲子園で開催を続けるのかを含め、将来を見据えた議論が必要だ。
今月の全国高校総体バスケットボールでは男子の東山が初優勝、女子の京都精華学園が3連覇を飾り、初の京都勢ダブル優勝を果たした。
練習の成果を存分に発揮し、心を弾ませる活躍を見せてくれた高校生をねぎらいたい。
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