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社説:自民党総裁選 選挙向けの「顔」より改革競え

京都新聞 / 2024年8月25日 16時0分

 裏金事件で地に落ちた信頼を回復することが、最大の課題ではなかったか。自民党総裁選に向け名乗りが相次ぐ一方、再生への危機感も覚悟も伝わってこないのはどうしたことだろう。

 来月12日告示、27日投開票で行われる総裁選は、多人数の乱戦となりそうだ。

 総裁の岸田文雄首相が再選出馬を断念し、これまでに小林鷹之前経済安全保障担当相、石破茂元幹事長が出馬を表明した。他の党三役や閣僚の経験者らも意欲を示し、10人超が立候補に動いている。

 裏金事件を受けて麻生派を除く各派閥が「解散」を決め、縛りが弱くなった面もあろう。「脱派閥」をアピールする思惑も透ける。

 だが実際は首相経験者らの影響力を頼り、正式な解散を先延ばししている派閥の単位で、対応を探る動きが強まっている。

 本来は抜本的な党改革のビジョンや練り上げた政策を旗印に支持を求めるのが筋だが、実態は程遠い。

 裏金への反省を踏まえるなら、カネをかけない選挙を徹底すべきだが、党選挙管理委員会の要請にとどまる。

 国民の目は厳しい。共同通信の世論調査では、岸田氏の退陣が「信頼回復のきっかけにならない」との回答が8割近くに上った。自民、公明両党の支持者もほぼ同じ傾向だった。

 まず問われているのは自民の金権体質の決別だ。闇を残した裏金事件の真相究明を徹底し、「抜け穴」を温存した改正政治資金規正法の抜本的な見直しに踏み込む姿勢がなければ、改革の実効性は伴わない。

 総裁選の告示まで3週間を切ったが、勢力の数合わせに終始し、肝心の政策の打ち出しが弱く、論争が深まらなければ本末転倒だろう。

 岸田氏が進めた防衛費の「倍増」や「異次元」の少子化対策は、いずれも財源があいまいなままだ。人口減社会と「金利のある世界」を迎え、持続可能な財政を巡る議論は避けて通れない。物価高が続く中、賃上げは大企業からの広がりを欠き、経済の好循環は見通せない。

 ウクライナや中東の戦火はやまず、11月の米大統領選後を見据えた国際情勢の流動化も予断を許さない状況が続く。

 日本が懸案にどう向き合い、解決していくかという議論こそ、政権党のリーダー選びの要である。安全保障関連3文書の改定や原発活用への転換など、重要な政策決定で国会を軽視した岸田氏の手法の是非も問い直さねばならない。

 支えた閣僚や党幹部、黙認してきた候補者たちは、これまでの自らの言動を説明する責任も問われる。

 来夏に参院選を控え、衆院議員の任期満了まで1年余りとなる中、選挙向けの「顔」を替えて刷新感を演出するだけなら、国民に見透かされよう。

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