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社説:中国の領空侵犯 許されない危険な行為

京都新聞 / 2024年8月30日 16時0分

 中国軍の情報収集機1機が、長崎県・男女群島沖の東シナ海を飛行し、軍用機として初めて日本の領空を侵犯した。

 中国側は「意図的ではなかった」というが、国際ルールを破る重大な主権侵害にほかならない。経緯や意図ついて、さらに説明を尽くすべきだ。日本側は目的を冷静に見極め、双方の意思疎通の回路を整える必要がある。

 敵軍の電波情報を集める中国の軍用機Y9は、男女群島沖の領空に侵入。航空自衛隊の戦闘機が緊急発進して警告したが、約2分間にわたり侵犯した。領空を出た後もしばらく旋回を続けたという。

 日本が中国に厳しく抗議し、再発防止を求めたのは当然である。中国は「いかなる国の空域にも侵入するつもりはない」とするが、かねて日本の領海や領空を脅かす挑発が目立つ。よりエスカレートさせた危険な行為に踏み出したとみられても仕方あるまい。

 男女群島に近い鹿児島県・下甑(しもこしき)島と長崎県福江島には空自基地があり、外国機などを早期発見、識別する警戒管制レーダーが配備されている。Y9の飛行は、空自の能力や日米、日韓の連携を試す狙いがあるのではないか。

 その上で領空侵犯は、中国外交筋から「ミスの可能性」との声もあるが、慎重に分析したい。日本は先月、海上自衛隊の護衛艦が中国浙江省沖の領海を航行したとして、中国側から「違法で不当」とする抗議を受けている。その意趣返しとの指摘もある。

 海洋進出を強める中国は、小さな動きを重ねて圧力をかける「サラミ戦術」を取っているとされる。領空侵犯があった九州西方では中国軍の動きが再三確認され、東シナ海南方の沖縄県・尖閣諸島では中国海警局の船舶が領海侵入を繰り返している。

 領空侵犯の恐れがある外国機に対する空自の緊急発進は、昨年度669回のうち約7割が中国機だった。緊張の高まりは、偶発的な衝突につながりかねない。中国の自制を強く求めたい。

 日中は昨年5月から、防衛当局幹部間で専用回線の運用を始めている。不測の事態を防ぐ相互通報体制「海空連絡メカニズム」の柱だが、現場で機能しているのか。点検と拡充を急ぎたい。

 訪中している超党派の日中友好議員連盟は、中国共産党幹部らと会談して遺憾の意を伝えた。互いの考えを正しく共有し、地域の緊張を高めない対話と信頼を積み重ねる政治の役割は大きい。

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