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社説:パラリンピック 多様性認め合う機会に

京都新聞 / 2024年8月30日 16時5分

 スポーツを通して多様性を認め合う機会としたい。

 パリ・パラリンピックが開幕した。障害者、健常者の分け隔てがない「共生社会」の実現をテーマに、12日間の日程で、史上最多となる167カ国・地域と難民選手団の計4400人が22競技549種目に参加する。

 日本からは海外の大会では最多の175選手が出場する。京都府、滋賀県からは、5大会連続出場で金メダル連覇を目指す競泳の木村敬一選手や、初出場する陸上の福永凌太選手らゆかりの14人が参加する。声援を送りたい。

 開会式では軍事侵攻に苦しむウクライナをはじめ、パレスチナ、難民選手団の選手が登場すると大きな拍手が起こった。第2次世界大戦の負傷兵士のリハビリ目的で開いたスポーツ大会が起源だが、今も世界で紛争はやまない。なおさらに平和の意義が問われよう。

 パラ大会を機に、障害者スポーツは広く知られつつある。「ボッチャ」は東京大会で個人の金メダリストも誕生し、一躍人気となった。重度障害者向けに考案されたが、障害に関係なく楽しめると実際に親しむ裾野が広がっている。日本福祉大の調査では14年に1.9%だった認知度は、東京大会の21年には46.2%に上がった。

 一方で東京以降、スポンサーから撤退する企業もあり、国や日本財団パラスポーツサポートセンターに財源を頼る競技団体が目立つ。射撃や車いすフェンシングなど9団体は昨年、スポンサー獲得や普及で協力する事業を始めたが、成果はこれからだ。

 共同通信社が全国の都道府県、市区町村の首長に実施した障害者スポーツに関するアンケートでは、普及に必要な課題として、「体験や情報発信」が約6割を占めた。続いて「利用しやすい施設の整備」や「指導員やボランティアの増加」が約2割だった。

 障害のあるなしにかかわらず、誰でもスポーツを楽しめるような環境づくりが欠かせない。自治体は競技団体とも連携し、取り組みを強化してほしい。

 4月に施行された改正障害者差別解消法では、障害者への「合理的配慮」を義務付ける対象が、国や自治体から民間事業者に広げられた。さまざまな見直しや工夫が進みつつある。

 パラリンピックだけでなく、聴覚障害者や知的障害のある人による国際大会もある。スポーツにとどまらない居場所にも目を向け、バリアフリー社会の実現へとつなげたい。

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