社説:元自民議員起訴 再調査で真相解明せよ
京都新聞 / 2024年9月5日 16時0分
自民党にはびこる政治資金の闇の深さを改めて物語っていよう。
東京地検特捜部が、堀井学元衆院議員を、政治資金規正法違反(虚偽記入)と公選法違反(寄付行為)の罪で略式起訴した。
堀井氏は、関連政治団体の政治資金収支報告書に、自民安倍派から政治資金パーティー券の販売ノルマ超過分として受領した裏金計約1700万円を記載しなかったとされ、地元有権者に香典計38万円や枕花を提供した罪にも問われた。罰金100万円と公民権停止3年の略式命令を受けた。
「香典の原資に裏金が使われた」との事務所関係者の供述もあるとされ、悪質性を重視した立件とみられている。
裏金事件を巡り、自民が2月に公表した調査報告書では、裏金を使った堀井氏ら53人の使途は懇親費や人件費などで、「違法な使途に使用したのは一人もいなかった」と総括していた。
おざなりな調査の不十分さが指摘されてきたが、重大な疑義が生じた。立件された議員は堀井氏含め4人に過ぎない。残る議員について私的流用を含め徹底して再調査し、真相解明すべきだ。
特捜部は、同じく自民を離党した広瀬めぐみ元参院議員も、公設第2秘書の給与など計約350万円を国からだまし取ったとして在宅起訴した。
広瀬氏は参院事務局に第2秘書を採用したとうその届け出を提出。第2秘書の解職届を出し、退職手当もだまし取ったとされる。
堀井、広瀬両氏とも起訴前に議員を辞職したが、自らの口で説明責任を果たすべきである。
地元有権者への香典配布は過去にも略式起訴のケースがあり、秘書給与の詐取も続発への対策で2004年に法改正された。
だが、堀井氏は秘書らから違法性を指摘されても継続を指示し、広瀬氏も「抜け道」を使った。ルール無視も甚だしい。
先の国会で、自民が成立させた改正政治資金規正法は、政治資金パーティーや政策活動費などの「不正の温床」と幾つもの「抜け穴」を残した。
こうした金権腐敗の病巣にメスを入れない限り、総裁選候補たちが声をそろえる信頼回復など望めまい。
野党でも、教育無償化を実現する会の前原誠司代表が、喪主を地元選出の市議が務める葬儀に供花を贈った問題などが表面化した。政治家たちはいま一度、法令順守を肝に銘じるべきだろう。
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