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社説:最賃と格差 是正の動き加速せねば

京都新聞 / 2024年9月5日 16時5分

 働く人の地域や男女による格差を改めて見つめ、是正への動きを加速しなければなるまい。

 最低賃金の47都道府県ごとの改定額が出そろった。半数超の27県は、国審議会が時給を一律50円引き上げるとした目安を上回り、全国平均は51円増の1055円と過去最高を更新した。

 京都府の1058円、滋賀県の1017円をはじめ、20都道府県は目安通り50円の引き上げとした。10月以降に順次適用される。

 目安額への上乗せは昨年度の24県を上回った。隣接地域間や都市部との格差が開き、人材が流出することへの地方の強い危機感を表していよう。

 働き手の暮らしと処遇の改善を進める一方、中小企業の対応力向上への後押しが課題となる。

 上乗せ額は徳島の34円が突出し、2002年度以降の現行方式で全国最大だった8円をはるかに上回った。現行の時給は全国で2番目に低いが、各種の経済指標から「全都道府県の中位より上」とすべく大幅増を決めたという。

 他県の改定を見ながら全国下位を逃れる動きも目立った。

 現行額が最も低い岩手は、昨年より審議会を20日遅く開き、先に決めた秋田より1円高くした。四国や九州も全県が上積みした。改定後、時給が最も高い東京と最も低い秋田の差は212円で、前年度の最大差より8円縮まった。

 だが、国の目安額や自治体間の下位脱出争いが中心では、他の先進国に比べて低い日本の最賃水準が追い付くのは遠いままだろう。

 抜本的な底上げの枠組みを再検討しつつ、地域企業が人件費増と原材料高を十分に価格転嫁できるような取引監視や、省力化投資などへの行政支援が求められよう。

 各地域の男女格差も見過ごせない。厚生労働省が初公表した都道府県別指数では、男性の賃金に対する女性の水準が7~8割にとどまった。全国の指数は74.8(%)で、京都は77.2で30番目、滋賀は74.3で8番目に格差が大きかった。

 女性の管理職全体に占める割合や平均勤続年数が少ないほど格差が広がっていた。男性に対し9割以上のスウェーデンや8割以上の米英と開きがある。

 政府は女性活躍推進法に基づいて男女の賃金格差の公表を義務付ける対象企業や、管理職比率など開示項目の拡大を検討している。

 仕事が探しやすく、賃金水準の高い都市部への女性の流出に悩む地方は多い。地域ごとの働きにくさの分析と解消が急務だろう。

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