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社説:関西空港30年 地域飛躍へ課題克服を

京都新聞 / 2024年9月6日 16時0分

 関西空港が開港30年を迎えた。インバウンド(訪日観光客)急増の追い風を受けて旅客数は伸び続け、来年の大阪・関西万博に向けて大規模な施設改修も進む。西日本の空の玄関口として、万全の防災対策や、大阪(伊丹)や神戸の空港との一層の連携強化が求められよう。

 関空は、大阪空港の騒音問題などを受け、大阪湾沖合を埋め立てて1994年に開港した。国内初の24時間空港として期待されたが、建設費などで1兆円超の負債が残り、アクセスの不便さもあって利用は低迷した。

 好転のきっかけは2012年に始まった格安航空会社(LCC)の就航拡大と訪日客増加だ。収益力を高める打開策として、関西、大阪両空港を経営統合し、日本で初の空港民営化を進めた。16年からは「関西エアポート」が事業を継承し、現在は神戸を含む3空港を運営する。

 その結果、18年度に国内、国際線を合わせた総旅客数が開港以来最多の2941万人を記録。新型コロナウイルス禍で減少したが、23年度は2589万人に戻った。

 ただ、課題も多い。軟弱地盤に造った人工島は地盤沈下や浸水に弱く、対策に追われ続けた。

 18年には台風21号による高波で滑走路やターミナルビル地下の設備が水浸しとなって停電した。対岸との連絡橋にタンカーが衝突したため、約8千人が一時孤立。空港の全面再開まで17日を要した。

 その後、540億円を投じて護岸かさ上げなどの対策が施されたが、もし再び関空が機能不全に陥れば、旅客や物流をはじめ関西経済全体への影響は甚大である。大地震と津波、高波のほか、異常気象も加味した対策が必須だ。

 将来の需要変動への対応も欠かせない。進行中の大改修が完成すれば、受け入れ可能な国際線旅客数は年間1千万人増加する。だが空港の地上業務や保安検査、荷物の積み下ろしなどを担う人手の不足は常態化している。

 アクセスの向上も急がれる。昨年春、京都と関空を結ぶ特急「はるか」は、うめきたエリアにある大阪駅地下ホームに停車するようになった。31年には関空とミナミ、キタを結ぶ新線「なにわ筋線」も開業予定だ。私鉄各社との乗り継ぎの利便性向上も期待される。

 これまで関西3空港のうち、国際線就航は関空に限られたが、30年をめどに神戸空港も国際化される。関西全体の持続的な活力向上のため、それぞれの強みを生かした機能分担を進めてほしい。

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