社説:関電問題捜査へ 原発利権の徹底解明を

京都新聞 / 2020年10月8日 16時0分

 巨額の原発マネーが動いた異例の不祥事は、刑事事件に発展する可能性が出てきた。関西電力の金品受領問題で大阪地検特捜部が、元幹部に対する市民団体からの告発状を受理し、捜査に乗り出すことになった。

 原発の稼働という国策の推進を巡り、企業のモラルを顧みなかった関電への国民の視線は厳しい。

 30年以上にわたる事業者と地元の癒着で原発事業がゆがめられ、電気利用者の負担にも影響があったのではないか。原発利権の構図の徹底解明に向け、強制力を伴う捜査のメスが入る意義は大きい。

 告発されたのは八木誠前会長ら9人。関電は旧経営陣5人に計約19億円の損害賠償を求める訴訟を起こしているが、より幅広く対象にしている。

 捜査上の課題は、金品を贈与したとされる福井県高浜町の元助役が死亡していることだ。元助役に関連する会社法違反(特別背任)などの容疑では、告発された7人が自らや元助役の利益のため、事前の情報提供や不適正な金額での工事発注で関電に損害を与えた立証が必要となる。元助役の供述が得られないのは大きな痛手だ。

 東日本大震災後の赤字でカットした役員報酬を退任後に補塡(ほてん)した問題についても森詳介元会長ら3人が告発された。取締役会に諮らずに決めた点で不正認識があったとされるが、補E5A1A1分が既に返金されている点などで刑事責任を問うのが難しいとの見方もある。

 問題の発覚から1年余り。大阪地検は立件のハードルが高いことを承知の上で、関電側の責任を問う世論にも背中を押されて告発を受理したのだろう。

 関電の第三者委員会は3月、元助役から金品を受領したのは役員ら75人で総額は計約3億6千万円相当に上るとした。しかしその後も、関電の子会社を含む7人が元助役から計約300万円の金品を受け取っていたことが判明するなど、問題は広がっている。

 第三者委の調査に限界があるのは明らかだ。大阪地検の捜査で、金品受領や便宜供与の全容解明を期待したい。

 市民団体の告発受理に際し、関電は「当社は当事者ではなく、告発の対象者は元社員であることから回答する立場にない」とのコメントを出した。まるで人ごとのようだが、金品受領で損害を被ったと自ら認定したのではなかったか。大阪地検による捜査では、誠実な態度での協力が義務だといえよう。

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