コラム凡語:バンクシー

京都新聞 / 2020年10月11日 16時0分

 バンクシーといえば、ロンドンでの競売で起きた2年前の騒動が思い浮かぶ。自作の絵が約1億5千万円で落札された直後、額縁に仕掛けたシュレッダーを作動させ、切り刻んだ一件である▼オークション制度をあざ笑うかのような大胆な表現に度肝を抜かれた方も多かろう。その素性はいまだに不明とされるが、これほど世界的な注目を集める作家が本当に正体を隠し通せるものなのか。これも謎といえば謎だ▼世界各地の路上に出没し、社会を風刺する絵をスプレーを使ってさっと壁面などに描いては身を隠す。そんなゲリラのような活動を続ける一方、版画や立体、映像などスタジオでの創作も幅広く試みている▼日本でも東京などでバンクシーの作品に似たネズミの絵などが確認されているが、本物かどうか確かなことは分からない。もし、いま日本にいたら、日本学術会議を巡る問題などは格好の風刺の対象になるのではないか▼恣意的としか言いようのない任命拒否。そんな政権の姿勢をどう表現するか。そういえば、あの「桜を見る会」の招待者名簿も、バンクシーの作品と同様、シュレッダーで刻まれた▼大阪南港のATCギャラリーで、バンクシーの展覧会が来年1月17日まで開かれている。ユーモアも優しさもある、幅広い活動が垣間見える。

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