社説:台風19号1年 過去に学び行動に移せ

京都新聞 / 2020年10月13日 16時5分

 東日本を中心に甚大な被害をもたらした昨年の台風19号の上陸から、丸1年がたった。

 長時間にわたって激しい雨が降り、13都県で災害関連死を含め113人が亡くなった。今も3人が行方不明で、7千人超が避難生活を送っている。

 相次ぐ台風被害に、国や自治体は降水量や河川の水位など、被害の切迫度を伝える情報の提供を工夫してきた。だが、逃げ遅れて住民らが取り残される事態が繰り返されている。

 災害から得られた教訓を、身を守る具体的な避難行動に結びつけていく必要がある。

 台風19号は東北沖に抜けるまで「大型で強い」勢力を保った。気象庁は、1958年に関東や伊豆半島に大きな被害をもたらした「狩野川台風」に匹敵するとし、上陸前から特別警報の発令を予告するなど最大級の警戒を繰り返し呼び掛けていた。

 甚大な被害につながったのは大規模河川だけでなく、中小河川で氾濫が相次いだことが大きい。堤防の決壊は、阿武隈川や千曲川など20水系の71河川、142カ所に及んだ。

 台風の大型化や集中豪雨の頻発で、近年は降雨量の記録が年々更新される状況にある。これまであふれたことのない川の周辺でも水害が起き得る。

 だが、住民が地域の危険性を十分把握できているとは言い難い。「千年に1度」級の大雨を想定した洪水ハザードマップ(避難地図)を公表済みの市区町村は、59%にとどまっている。自治体の予算や専門人材の不足のほか、浸水しない避難場所の選定が難航しているためという。

 19号被害を受け、政府は災害リスクの高い小規模河川についてもハザードマップを作るよう求めている。自治体を支援して作成を急ぐとともに、周知に努める必要がある。

 国は7月に公表した防災・減災総合対策で、時間と費用がかかる堤防やダム整備に頼る治水対策から「流域治水」への転換を打ち出した。

 危険エリアの開発規制や住宅移転促進などを組み合わせ、地域全体で水害への耐性を高めるのが狙いで、今後全国109の1級水系で地域の実情に応じた流域治水プロジェクトを策定するという。

 地域の危険性を知り、備えることが重要な対策になる。住民も過去の災害に学び、訓練を重ねて減災への具体的な行動につなげてほしい。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング