先祖の木に愛着…花粉症対策のスギ植え替え課題山積 知事会が対策チーム設置

京都新聞 / 2020年10月17日 12時0分

【資料写真】スギの雄花

 今や国民病ともいわれる花粉症の対策として、スギやヒノキを花粉の少ない品種に植え替えようと、全国知事会(会長・飯泉嘉門徳島県知事)がプロジェクトチーム(PT)を設置した。京都府や滋賀県など39道府県が参加。苗木の生産拡大や品種開発、花粉の飛散防止技術について研究や意見交換し、2022年夏をめどに国への提言をまとめる。

 先ごろ開かれた第1回PTでは東京都内に林野庁の職員を招き、39道府県庁をウェブでつないだ。

 同庁の資料によると、19年に全国の耳鼻咽喉科を受診した患者のうち花粉症だったのは全国平均で38・8%、京都府は全国で5番目に多い49・2%、滋賀県は37・5%。この数値は年々、増加しているという。内閣府の18年調査では、森林・林業政策で国民が期待することの2位に「花粉発生源対策の推進」が入った。

 林野庁は1990年代半ばごろから地元自治体と協力して人工林でスギやヒノキを伐採し、花粉の少ない苗木や広葉樹への植え替えを進めている。少花粉のスギの苗木は、全国的に取り組みが広まった2007年から生産が急増し、18年には1097万本とスギ苗木全生産量の約52%を占めた。同庁は、32年に少花粉のスギ苗木生産割合が70%となる目標を掲げ、花粉を飛散させない薬剤の開発や散布方法の研究も進める。

 一方で、北山杉の産地がある京都府では「(少花粉品種への)植え替えは、まだ進んでいないのが現状」(林業振興課)という。北山杉は独特の品種で育て方にも特徴があり、すぐに植え替えられるわけではない。府内では、まだ少花粉品種の苗木作りが始まっておらず、他の人工林もほぼ手つかずという。同課は「福知山の採種園で研究が始まっており、今後、植え替えに参入する」としている。

 滋賀県も人工林での植え替えは緒に就いたばかり。県森林保全課によると、県内の人工林は約20万ヘクタールで、18年までに少花粉のスギの苗木を植えたのは約13ヘクタール。同課は「山林所有者には数世代に渡って育ててきた木に愛着を持つ人もおり、植え替えに応じてくれないことも少なくないが、花粉症対策のために対応していきたい」という。
 
 京都府、滋賀県ともに、品種開発の研究費用や木の伐採、植え替えに必要な財政負担で国の支援を引き出せるよう、知事会の取り組みに期待を寄せている。

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