京都観光、コロナ後見据え中国に熱烈PR 嵐山中継に視聴10万人超、アリババとJR西が企画

京都新聞 / 2020年10月17日 11時0分

「竹林の小径」の景色を人力車から撮影して中継した映像

 中国の電子商取引(EC)大手アリババグループとJR西日本が9日、京都・嵯峨嵐山の観光を楽しむ様子を中国に生中継するバーチャル旅行イベントを開催した。新型コロナウイルスの影響で海外旅行が難しい現地の人々にオンラインで京都の魅力を伝え、収束後のインバウンド(訪日観光客)回復につなげる考えだ。

 イベントの案内役には、日本在住で中国国内に100万人以上のSNSフォロワーを持つ中国人男性の「東京阿鶏(アーチ)」さんを起用。動画投稿アプリで日本の観光地やグルメを中国に発信する東京阿鶏さんは、アリババが運営する動画配信サービス「タオバオライブ」などを使って映像を配信した。

 嵯峨野観光鉄道のトロッコ列車を紹介した後、人気スポット「竹林の小径(こみち)」を人力車で進み、二尊院の境内も散策した。東京阿鶏さんの視点から景色を映し、視聴者が京都観光を疑似体験する映像を約2時間にわたって中継。視聴者数は一時10万人を超えたという。

 アリババグループとJR西は昨年9月、西日本を訪れる中国人客の拡大などに向けて提携。新型コロナの感染拡大で訪日旅行が困難となったが、コロナ後の需要取り込みに向け日本の観光地をPRする初の試みとなった。

 アリババの担当者は「中国国内の調査で、行きたい海外旅行先として日本は常に上位にあり、ニーズは確実にある」と強調した。JR西上海代表処の平岡剛所長は「移動制限があり観光客の往来が見通せない中でも西日本の良さを伝え、行ってみたいという興味をかき立て続けることが大事だ」と説明した。

■「インバウンドマネー」今後も不可欠

 近年大幅に増加した訪日外国人観光客は、新型コロナウイルスの感染拡大前まで京都観光の活況を支える中核だった。旺盛な消費を当て込んで開業した店舗も多く、「インバウンドマネー」が地域の税収や雇用も支えていた面がある。京都経済の完全復活には、コロナ収束後の海外誘客が欠かせない。

 2019年の京都観光総合調査によると、同年の外国人観光客数は886万人。日本人より1人当たりの支出が多く、観光消費額は3318億円と全体の27%を占めた。主要ホテルの宿泊客に占める外国人比率はさらに高く、19年で過去最高の46・9%に上った。

 ところがコロナ禍で事態は急転。渡航制限の影響で今年4月以降の外国人宿泊客数は前年同期比99%超の減少が続き、需要は蒸発した。外国人を主要顧客としてきた店舗やホテルの廃業も相次ぐ。

 かつてない観光危機に、市観光協会は今後の事業展開をまとめたロードマップを策定。早い段階から在日外国人を起用したプロモーションなどを行い、将来の訪日観光を喚起していくとした。

 同協会は「自由に行き来できない時期だからこそ、京都に関心を持ち続けてもらえる仕掛けが必要」とする。国際観光の本格的な再開が見通せない中でも、オンラインのPRなどで現地の潜在需要に働きかける方針だ。

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