社説:米軍駐留費交渉 対等な同盟とするには

京都新聞 / 2020年10月21日 16時0分

 2021年度から5年間の在日米軍駐留経費負担を決める日米交渉が始まった。

 日本が「思いやり予算」として負担している基地従業員の給与や光熱水費、訓練移転費などの総額は20年度予算で1993億円に上る。トランプ米政権は米軍が駐留する各国に大幅な負担増を求めており、日本にもさらなる支出を要求してくると想定されている。

 日米関係の基軸となる日米安全保障条約は、米国に日本の防衛義務を課す一方、日本は国内で基地を提供すると規定している。安保条約の運用を定めた日米地位協定は、在日米軍の維持経費は全て米側負担と明記している。

 日米両政府は、どちらかの国だけが利益を受けるものではないとの認識を再確認し、交渉を進めなければならない。

 思いやり予算は、円高や米国の赤字財政などに配慮した日本側が1978年に基地労働者の福利費など62億円を支出したのが始まりだ。87年には特別協定を結び、拠出対象を順次拡大して米国を支えてきた。

 だが、トランプ氏は日米安保条約を「不公平」と公言してはばからない。ボルトン前米大統領補佐官は、トランプ氏が年間80億ドル(約8400億円)と現在の4倍もの負担を日本に求めていると回顧録で証言した。

 2021年度予算案の編成が12月に迫る中、日本側には、トランプ現政権と5年間の負担を決めるのは不適切として、1年分の暫定合意を結ぶ案が浮上しているという。高額要求は大統領選を見据えたトランプ氏流の交渉術との見方もあり、暫定合意は現実的な選択肢になろう。

 ただ、米中対立の激化で、米国内の対中強硬論は超党派で広がっている。民主党のバイデン前副大統領が勝利しても、米側から相応の負担増を求められるとの予測もある。先送りだけでは問題は解決しないはずだ。

 軍事的、経済的に台頭する中国に対抗するため、新たな基地負担や軍事装備の購入を迫られる可能性もある。日本政府は駐留経費の正当な負担とは何かについて、明確な根拠を打ち出す必要がある。

 在日米軍を巡っては、米兵や軍属による問題が起きても日本側に立ち入り調査をする権限がないなど、地位協定の不平等が解消されないまま残されている。

 こうした課題も併せて議論しなければ、対等な同盟関係に基づく交渉とはいえまい。
 

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