社説:感染急拡大 対策総動員で食い止めを

京都新聞 / 2020年12月27日 16時0分

 今年も残り1週間を切ったが、新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない。

 例年ならば帰省や初詣、忘・新年会などの行事が増える時期だが、今年は様相が異なっている。

 1日当たりの感染者数は全国的に増加傾向が続いており、死者数も増えている。京都府の新規感染者は24日から3日連続で100人を上回り、滋賀県でも26日にこれまでで最も多い49人の感染が確認された。

 急速な感染拡大で、救急を含む地域の医療は危機にひんしている。医療提供体制が手薄になる年末年始は、高度医療を担う病院に負荷が集中すると懸念されている。

 京都府内では24日時点のコロナ病床使用率が36%を超え、政府の対策分科会が「ステージ3(感染急増)」の指標の一つとする25%を大幅に上回った。西脇隆俊知事と松井道宣府医師会長、夜久均府立医科大付属病院長は25日、「医療崩壊前夜と言っても過言ではない」として府民に外出自粛を強く求める緊急メッセージを発表した。

 医療の崩壊を何としても回避する必要がある。感染急拡大の原因を踏まえ、取れる対策を総動員して食い止めなければならない。

 国内の新型コロナ感染者は、21日に累計で20万人を超えた。1月16日に初感染者が公表されてから10万人に達するまでの期間は9カ月間だったが、その後2カ月で2倍に膨れ上がった。

 急拡大の要因の一つが、大都市圏中心だった感染が地方へ広がっていることだ。

 12月の都道府県別の感染者数(20日まで)は東京、大阪、神奈川、愛知で全体の半数を占めるが、東北や四国でも1日当たりの感染者が過去最多になるケースが相次いでいる。夏場の感染「第2波」が下火になり、人の往来が活発になったことが背景にあるとみられている。

 政府は「静かな年末年始」を過ごすよう求め、帰省や会食を控えるよう訴えるが、この間の対応はちぐはぐで、場当たり的だと言わざるを得ない。

 観光支援事業の「Go To トラベル」は28日から来月11日までの全国一時停止に踏み切ったが、政府の分科会は感染拡大地域での運用停止を求めていた。5人以上の会食自粛を呼び掛けながら、菅義偉首相自ら大人数の宴会に参加している。

 感染防止の徹底が大事だと強調するだけでは空疎にしか響かない。なぜ自粛が必要なのかを国民が理解し、適切に判断して行動できるよう、医療の逼迫(ひっぱく)度など地域ごとの状況を根拠となるデータともに分かりやすく示すべきだ。

 菅首相は25日の会見で、新型コロナ患者の病床確保に向け、病院へ総額2700億円の緊急追加支援を打ち出した。1床あたり最大1500万円を補助し、医療従事者の処遇改善に充てられるようにするという。

 感染者の急増を受け、京都府・市も年末年始期間に感染が疑われる患者を診察した医療機関への支援金交付を決めた。政府と自治体が連携し、医療の態勢拡充へ手を尽くしてほしい。

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