社説:再び「緊急事態」 国民の不安払拭できるか

京都新聞 / 2021年1月6日 16時0分

 新型コロナウイルス感染への対応は、新たな局面に入った。

 菅義偉首相が、東京など首都圏の4都県を対象にコロナ特措法に基づく緊急事態宣言再発令の検討に入ると表明した。

 昨年11月以降の「第3波」は収束の気配がなく、一部地域では医療崩壊の懸念も出ている。

 今月2日には4都県の知事が政府に対し、速やかに緊急事態を発令するよう要請した。

 しかし、菅首相は4日の年頭記者会見でも検討の具体的な内容に触れなかった。発令が国民生活にどう影響するのか、感染防止にどのような効果をもたらすかなどは不明なままだ。

 専門家による諮問委員会の意見を聞くため、再発令を決定するのは7日になるという。事態悪化の心配は以前からあったのに、対応策の想定も準備もなかったことを露呈したといえる。

 コロナ対策を政権の最優先課題に掲げながら、菅政権は危機感や国民への説明責任を欠いているように見える。

 再発令をすると決めた以上は曖昧な態度は許されない。

 現状に真剣に向き合い、国民の不安を払拭(ふっしょく)できるメッセージを出す必要がある。現場を預かる都道府県知事の取り組みを支援する方策を、スピード感をもって示すことが必要だ。

 これまでの政府の対応は、遅さや稚拙さが目立った。知事らの再発令要請に対し、逆に外出自粛や飲食店の営業時間短縮強化を求めるなど、ボールを投げ返すような姿勢すら見せた。

 菅首相は自らが主導した「Go To トラベル」事業が感染拡大につながった証拠はないと主張し続け、全国的な停止に踏み切るのが遅れた。

 ここへ来て再発令に踏み切るのは、GoTo事業への批判に加え、内閣支持率の急落などがあるのだろう。世論に追い込まれての方針転換ではないか。

 緊急事態宣言は拡大防止に向けて政府が打ち出せる最終手段である。昨年4~5月の発令については、効果や課題の総括ができていない。時間はないが、急いで検証を行い、問題点を整理しておく必要がある。

 政府とは別に、4都県知事は独自の「緊急事態行動」を定める方針だ。飲食店などへの閉店時間前倒し要請のほか、住民には午後8時以降の不要不急の外出自粛を、企業にはテレワーク徹底を求めるという。

 広く協力を得られるかが鍵となる。現行の特措法では飲食店などに休業や時短営業を強制できず、協力した事業者への財政支援も明記されていない。

 都は協力金制度の支払い対象や金額を拡充する方針だが、これまでの時短要請では経済的な理由から応じない飲食店などの事業者も目立っている。

 政府は全国知事会などの要望を受け、給付金支給を盛り込んだ特措法改正にようやく動きだした。ただ、改正案は要請に従わなかった場合の罰則も盛り込むといい、十分な議論が要る。

 その審議の場となる通常国会は今月中旬まで開かれない。立法府も動きが鈍いと言わざるを得ない。感染拡大防止には一刻の猶予もない。繰り上げ召集も含め、迅速な対応を求めたい。

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