社説:阪神大震災26年 ボランティア文化継承を

京都新聞 / 2021年1月17日 16時0分

 6400人以上が亡くなった阪神大震災の発生からきょうで26年になる。

 被災地支援をきっかけに「ボランティア元年」と呼ばれ活発化した市民活動は、昨年からの新型コロナウイルス禍で大きな制約を受けている。

 外出自粛や経済活動の制限などで多くの人たちが苦境に立つ今こそ、助け合いの意義と在り方を問い直す必要がある。

 国内では、地震のほか台風や豪雨による自然災害が頻発している。物資の配布、がれきや泥の撤去には、多くの人手が必要となる。2011年に起きた東日本大震災では、これまで延べ150万人以上がボランティアに参加し、被災地の復興を後押ししてきた。

 ところが昨年7月に熊本県を襲った豪雨被害などでは、コロナ感染防止のためにボランティアの受け入れは県内在住者に限られた。

 復旧作業の遅れは、生活再建への大きな足かせとなる。半年以上たった今でも、仮設住宅での見守り活動などに人手不足を指摘する声も出ている。

 コロナ感染の拡大で府県をまたぐような移動が制限される中で、どのようなボランティア活動が可能なのか、模索が続いている。

 その一つが、災害時に支援を必要とする高齢者や障害のある人たちと、手助けする地域住民の関係を深める取り組みだ。

 政府は14年に災害対策基本法を改正し、市町村に対して災害弱者を事前に把握する「避難行動要支援者名簿」の作成を義務化した。

 だが、人材不足から実際の支援は難航している。自治会や自主防災組織には、地域内で非常時の支援体制をつくり、日頃からの交流や訓練に努めているところもある。

 支援者の受け入れのために全国各地に設置されている災害ボランティアセンターなどは通常時の活動として、地元でボランティアに興味のある人たちと要支援者の双方に呼び掛けて防災や支援に関する講習を実施している。会員制交流サイト(SNS)を使った情報共有にも積極的だ。

 遠方の被災地に出向かずともできる支援活動は多い。行政はこうした団体とも連携を深め、地域の防災力を高めてほしい。

 コロナ禍では、感染を恐れての「避難控え」や、避難所での過度な心身の負担も懸念されている。

 地域の学校の体育館などに設置される避難所は「3密」になりやすい。このため、紙や布でできた資材で間仕切りを作ったり、通路幅を大きく取ったりして避難者同士の間隔を確保する工夫もなされている。体調不良者のためのスペースを別に設けることも検討されている。

 16年の熊本地震では、避難生活の負担などによる災害関連死が、建物の倒壊などによる直接死の約4倍に上ったという。各自治体には、コロナに関連する犠牲者の増加を防ぐ対策と住民への周知が求められよう。

 私たちも、地域での支え合いの在り方を見つめ直し、防災・減災につなげたい。

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