社説:緊急事態延長へ 危機感の共有をさらに
京都新聞 / 2021年2月2日 16時5分
新型コロナウイルス特別措置法に基づいて11都府県に再発令中の緊急事態宣言に関し、政府は首都圏と京都を含む関西圏について7日までの期限を延長する方針だ。
延長幅は3週間から1カ月程度を想定しているという。新規感染者数はやや減少傾向にあるが、医療体制の逼迫(ひっぱく)が続く状況ではやむを得ない判断と言えるだろう。
ただ、菅義偉首相は1月7日に首都圏1都3県に宣言を出した際、「1カ月後には必ず事態を改善させる」と述べた。国民への約束は果たせなかったことになる。
現行の宣言に、どのような効果があったか詳細な検証が必要だ。その上で、延長の目的や解除判断の見通しをしっかり示すべきだ。
いまの緊急事態宣言の発令地域では、飲食店に午後8時までの営業時間の短縮を要請しているほか、不要不急の外出の自粛やテレワークによる出勤者の削減も広く求めている。
宣言解除について政府は、4段階の基準で最も厳しいステージ4(爆発的感染拡大)から改善することが必要としているが、状況は楽観視できない。
これらの地域では、医療提供体制が深刻な状態が続いており、自宅療養中に容体が急変して亡くなる事例も相次いでいる。病床の確保は行政が最優先で取り組むべき課題である。
宣言の影響が最も大きい飲食店への対応も見直しが必要だ。
時短要請に応じた店舗に支払う協力金は一律に1日6万円とされているが、規模の大きい店や家賃が高い店は損失を賄えず、不十分だとの指摘がある。
飲食店の関連業種なども売り上げの落ち込みが目立つ。非正規労働者をはじめとする雇用への影響も心配だ。
宣言の延長に当たっては、補償や支援策の充実などきめ細かな配慮が欠かせない。
国会では、特措法と感染症法の改正について審議が続いている。懲役などの刑事罰は削除される見通しだが、特措法で「必要な財政上の措置を講じる」とした事業者支援の中身は曖昧なままだ。実効性を高めるため、具体的な内容の議論を詰めることが不可欠だ。
緊急事態の長期化は、慣れにつながりかねない。昨春の宣言時と比べ、一部の繁華街や観光地では人出が増えたとのデータもある。
感染力が強いとされる変異株の流行も懸念されている。危機感を共有し、感染拡大と医療崩壊を防がねばならない。
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