午後8時以降営業の居酒屋「行政罰」に反発 「対策徹底、過料は社員のやる気奪う」
京都新聞 / 2021年2月3日 11時0分
京都府を含む10都府県での新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言の1カ月延長が2日に決まり、時間短縮営業を余儀なくされている飲食店の苦境脱却はさらに遠のいた。国会で3日に成立する見通しの同法改正案では、時短営業の命令に応じない事業者に過料を科すことが可能となる。飲食業界への逆風が一段と強まる中、一部の店舗からは反発の声も上がる。
「夜の飲食店だけがなぜ悪者なのか」。京都市内で居酒屋業態の5店舗を経営する会社の社長は、憤りを隠さない。雇用している従業員はアルバイトを含めて約60人。社長は2回目の緊急事態宣言で京都府が追加発令された1月14日以降、2店舗の時短を取りやめて午後6時~午前0時の通常営業に戻した。
府が営業終了を要請する午後8時以降は、今も客が途切れず来店する。「夜に外食できる場所がなく困っている人が多い。今は逆にお客さんから感謝される」。社長が疑問視するのは、日中に人が集まる店舗などが黙認され、夜間の飲食営業だけに自粛を求める対応だ。「短期集中でロックダウン(都市封鎖)をするなら理解できる。納得できない政策に対し、心情的に従えない」と話す。
目下の心配は、新型コロナ特措法改正で新設される「まん延防止等重点措置」。発令後に時短営業の命令を拒めば過料が科される恐れがあるためだ。
京都市内で複数の居酒屋チェーンを運営する別の企業も、本店のみで午後8時以降の営業を続ける。70人以上の従業員を雇う社長は「店の感染対策は徹底している。このままでは社員がやる気を失ってしまう」と、行政罰を科す政府の改正案に強く反発する。
昨年末から新酒の仕込みがピークを迎えていた清酒業界も打撃が及ぶ。伏見酒造組合(伏見区)によると、昨年12月に詰めた日本酒が飲食店向けに出荷できず、在庫が大量に発生。1月の出荷量が前年比9割以上減った蔵元もあるという。同組合の増田徳兵衛理事長は宣言延長に理解を示しつつ、「酒類提供が午後7時までに制限された現状が続けば厳しい。日本酒を好む中高年層が夜間出歩かなくなる」と憂慮する。
地元企業の苦境がさらに続く中、京都商工会議所の塚本能交会頭は2日、宣言延長について「重症者数の高止まりと病床の逼迫(ひっぱく)度合いも改善されておらず、やむを得ない」とした上で、苦しい経営が続く事業者に対し「事業継続と雇用の維持を最優先課題とし、全力で支援する」とコメントした。
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