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12~15歳接種で京都・伊根町に電話殺到 そのとき町民はどう思った

京都新聞 / 2021年6月13日 15時0分

ワクチン接種会場に入る若者ら(6日、伊根町日出・町コミュニティセンターほっと館)

 12~15歳への新型コロナウイルスのワクチン接種を府内で最初に始めた京都府伊根町に、接種に反対する抗議の電話が殺到した。これを受け町は、同意による接種を強調するため集団接種から個別接種に切り替えた。厚生労働省の通知に基づいて接種を進める自治体の現場は、思わぬ反応に困惑している。

 「殺人鬼呼ばわりされる」。7日、伊根町役場総務課に電話が殺到し、真摯(し)に応対しようとした職員らが悲痛な声を漏らした。


 電話は、前日に始めた12~15歳の新型コロナウイルスのワクチン接種がきっかけだ。この様子が報道され、会員制交流サイト(SNS)などで子どもの接種に反対する書き込みが相次ぐ。役場の電話番号を記し、電話を促す内容もあった。


 電話の主は「子どもへの接種はリスクがある」「生殖機能が低下する」など、町の責任を問い詰める。対応した男性職員は「全く仕事にならない。もう疲れた」と肩を落とした。
 抗議は役場の代表電話だけでなく、3回線ある接種コールセンターにも集中した。30分ほど話し続ける相手もいて、7日は98件あった。10日までに計約200件に上り、体調を崩す職員もでた。


 このため、町は非通知設定の電話を着信拒否にするなど対策に乗り出す。ワクチン接種に関する問い合わせの番号を、別に用意して町民に知らせた。吉本秀樹町長は「厚労省の通知に従い、迅速な接種に対応した。抗議の電話やメールで行政を止めて翻意させようというのは間違っている」と憤る。


 また、町内唯一の中学校の生徒(26人)向けの接種も、急きょ切り替えた。本人や保護者の同意が前提であることを強調するため、予定していた集団接種を個別接種にした。


 これに対し、中学3年の息子を持つ女性(43)は、抗議への町の対応を知らなかったとし、「学校で打てれば、子どもを接種会場に連れて行かなくても済むのに…」とこぼした。9月には修学旅行もあるため、接種を望んでいるという。


 小学生の子どもがいる会社員の男性(43)は「他の地域よりも接種が早く進んでいるため、子どもの副反応の実態など心配な部分はある」と不安を口にしながらも、「接種は家族や個人の考えで決めるべき。打ちたい人は打てばいい」と話す。


 未成年者への接種に関する同様の問題は全国各地でも起こっている。北海道奥尻町では、高校生の優先接種を明らかにした1日以降、町役場に1日十数件の抗議電話が相次いだ。神戸市でも、報道を機に200件以上の電話やメールが殺到し、対応に追われた。


 伊根町への抗議を踏まえ、地元選出の国会議員は河野太郎・行政改革担当相に「ワクチンの安全性を、より広く国民に周知してほしい」と伝えた。接種を判断するには、リスクも含めた正確な情報共有が欠かせない。


 小中学生への接種を巡っては、7日の国会で萩生田光一・文部科学相が「集団接種は考えていない」と述べるなど、厚労省と文科省の間にズレも見られる。小規模の町や村で接種が進む中、国は明確な指針を早く示すとともに、現場が混乱しないように自治体を支援する責任がある。

 【接種年齢の引き下げ】 厚生労働省は6月1日、米ファイザー製の新型コロナウイルスワクチンの安全性や有効性が確認されたため、接種対象を16歳以上から12歳以上に引き下げた。12~15歳は64歳以下の一般接種に入るが、運用は市町村の判断にゆだねられている。

 ファイザーは、対象年齢の拡大や保存期間の延長に向けて、国の審査機関「医薬品医療機器総合機構(PMDA)」に添付文書の改訂を相談していた。米国では既に認められている。同社が12~15歳の2260人を対象に実施した臨床研究(治験)の結果によると、偽薬を投与したグループでは18人が感染したが、ワクチンを接種したグループでは感染は認められず、100%の発症予防効果が確認された。

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