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社説:中国共産党100年

京都新聞 / 2021年7月4日 16時0分

 「われわれを抑圧しようとする外部勢力を中国人民は絶対に許さない」「偉そうな態度の説教は絶対受け入れない」

 威圧的ともいえる演説は、1時間以上続いたようだ。

 中国共産党は1日、創建100年を迎えた。その祝賀大会で習近平総書記(国家主席)は米国を念頭に対決姿勢を示し、一党支配の正統性を強調した。

 演説が象徴するように、中国は経済力と軍事力を誇示し、世界に摩擦と緊張を生んでいる。

 香港の市民や報道機関への容赦ない弾圧をはじめ新疆ウイグル自治区での人権抑圧、南シナ海などを巡る海洋進出の動きに各国は警戒感を強めている。

 10年以内に国内総生産(GDP)で米国を抜いて世界一になると予想されるのに、自由や人権、民主主義といった価値観を重んじない。中国は、向き合い方の難しい大国となっている。

 国威を振りかざす独善的な姿勢をとり続ければ、国際社会からの不信感は増幅しよう。世界が不安の目で見ていることを、習指導部は深く認識すべきだ。

 共産党では、文化大革命などの混乱を招いた毛沢東の死後、故鄧小平氏が実権を握り、改革・開放政策にかじを切った。

 外資を積極導入し、急速な経済発展につなげた。毛時代への反省から個人崇拝につながる幹部の終身制を廃止。先進国から技術を学び、時間をかけて国力を蓄える外交戦略をとった。

 しかし、習氏は国家主席の任期制限を廃して終身支配の道を開いた。腐敗撲滅を掲げて政敵を排除し、権限を集中させた。

 「戦狼外交」と呼ばれる攻撃的な対外戦略にも踏み出した。

 強硬姿勢で長期支配を正当化しようとしているのだろうか。異例の独裁体制は、世界各国に「中国脅威論」を広げている。

 一方で、足元では貧富の格差が拡大している。習氏は1日の演説で、ゆとりのある生活を維持できる「小康社会」を全面的に達成したと宣言した。だが、李克強首相は昨年5月、「月収千元(約1万7千円)の人が6億人いる」と明かした。

 地方では乱開発や自然破壊、無謀な投資が相次ぐ。長く続いた一人っ子政策の影響で少子高齢化が急速に進み、生産年齢人口の先細りも心配されている。

 国内で格差に対する不満が高まれば、国民への言論統制を強化したり、台湾に対する示威行動を先鋭化させたりする懸念もある。そうした行為に踏み切れば、批判はさらに高まろう。

 バイデン米政権は、中国との対立を「民主主義と専制主義の闘い」と位置づけ、欧州や日本などと対中包囲網を形成する。

 人権を巡る価値観の違いが、大きな対立点となる。

 もし、巨大な経済力と強大な軍事力をたのんで各国の批判に耳を貸さないなら、国際社会との対話は容易ではなくなる。そればかりか、米中を軸とする対立は固定化しよう。

 長い目で見れば、中国の国際的孤立にもつながりかねない。

 創建100年の節目に、世界の目が中国共産党に注がれている。習指導部は自らの影響力をわきまえ、大国としての責任を果たさなくてはならない。

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