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社説:エネルギー計画 達成へ具体策問われる

京都新聞 / 2021年7月29日 16時5分

 国の新たな「エネルギー基本計画」の素案を経済産業省が公表し、2030年度の電源構成目標が示された。

 大きな特徴は主力電源として再生可能エネルギーの割合を36~38%に引き上げたことだ。19年度比で約2倍に拡大させることになる。

 世界的課題である脱炭素社会の実現に向けて、高い目標を打ち出した。

 エネルギー政策の大転換といえる。「野心的」とされる目標の達成へ具体策が問われよう。

 素案には、菅義偉首相が掲げた50年の温室効果ガス排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)方針を初めて盛り込んだ。

 その上で、4月の気候変動サミットで表明した30年度の排出削減幅を13年度比で従来の26%から46%へ大幅に引き上げるとした目標を前提とした。

 脱炭素に向けた国際公約の数値から逆算した感は否めない。

 再生可能エネの普及には課題も多い。

 太陽光は建設期間が短く、技術も一定確立している。

 ただ、用地の確保が難しく、自然環境の保全や防災を理由に設置を制限する条例も増えている。発電量が天候によって左右されるため、バックアップ電源の整備も必要だ。

 風力や地熱などの拡大には、規制見直しや技術開発を進めることが欠かせない。

 一方、原子力は「可能な限り依存度を低減する」としながら、「ベースロード電源」との位置付けを踏襲する。新増設やリプレース(建て替え)の方針は明記されなかった。

 電源比率20~22%の現行目標を維持するが、この比率は原発30基程度の稼働が前提となる。再稼働が現在10基にとどまり、安全性の審査や自治体の理解が進まない中で現実的とは思えない。なし崩し的に延命を図っているようにみえる。

 「脱原発」の道筋を具体的に描くための議論が必要だ。

 火力の割合は19年度実績の76%から41%に減らす。

 大幅に削減する印象だが、二酸化炭素排出量が特に多い石炭火力は先進各国が全廃する流れにあるだけに、消極的との批判を招く可能性もある。

 素案は徹底した省エネの追求も掲げ、30年度の総発電量は19年度実績の1割減を見込む。企業や家庭などでの省エネの取り組みや新技術の導入も求められる。

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