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社説:IR誘致申請 皮算用に疑問符が付く

京都新聞 / 2021年10月2日 16時0分

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備に向け、国土交通省はきのう、自治体の誘致計画申請受け付けを始めた。

 2020年代後半の開業を目指すが、思惑通りに地域経済の活性化につながるのだろうか。新型コロナウイルス禍の影響もあり、先行きは不透明と言わざるを得ない。

 IRはカジノのほか、ホテルや劇場、国際会議場などが集まった複合的な施設を指す。18年にIR整備法が成立し、国内での大型プロジェクトが動きだした。賭博の収益で観光や経済の振興を図る手法は成長戦略とは言い難いが、菅義偉首相らが「経済の起爆剤」と位置付け、旗を振ってきた。

 これまでに大阪府・市、和歌山県、長崎県の3地域がパートナーとなる事業者を選定し、誘致を表明している。一方でギャンブル依存症の増加や生活環境悪化を懸念する声が根強く、有力候補だった横浜市は誘致を撤回した。

 国交省によると、申請受け付けは来年4月28日まで。有識者委員会が、施設の構成や雇用創出を含めた地元経済への波及効果、財務面の安定性、ギャンブル依存症対策などを審査し、最大で3カ所を選ぶという。

 和歌山、長崎に比べ、規模が突出して大きいのが大阪IRだ。

 公募に唯一手を挙げていた米カジノ大手などの共同事業体が、25年に開催予定の大阪・関西万博の会場ともなる人工島の夢洲(大阪市此花区)に、三つのホテルや国際会議場、劇場などを計画。初期投資額は1兆800億円、国内外から年間約2050万人の来場者を想定し、年間売上高5400億円程度を見込んでいる。

 IRと万博との相乗効果を狙うが、時期のずれは否めない。コロナで地域経済が低迷し、関西空港の国際便復旧は見通せない。大阪メトロや京阪電鉄などの延伸構想のめども立っていない。

 統合型をうたいながら、売上高の8割を変動リスクの高いカジノ収入に頼るそろばん勘定だ。採算性や周辺への波及効果を疑問視する声も多い。捕らぬたぬきの皮算用とならないか。

 コロナ禍による経営悪化で、ノウハウを持つ海外事業者のIR撤退が相次いでいる。世界的にカジノの売り上げは落ち込んでおり、果たして集客や営業面で事業が成り立つのだろうか。

 拙速を避け、このまま進めていいのか、いま一度、IRが抱える負の側面を直視して慎重に検討すべきである。

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