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「このままではシカが増え過ぎてしまう」 外食需要減少で肉が売れず、加工業者が苦悩

京都新聞 / 2021年11月7日 11時0分

外食産業の低迷により、食肉用のジビエが販売できずにいっぱいになった冷凍庫。「一網打尽」の梅棹さんは「コロナになる前だったら空っぽになっていることもあるのに…」と話す(南丹市美山町盛郷)

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴って外食産業の需要が冷え込み、シカやイノシシなどの野生鳥獣を使ったジビエの生産や販売にブレーキがかかっている。丹波地域で加工や販売を扱う事業者も大きな影響を受け、ペットフードへの加工に乗り出すなど、新たな販路の開拓に取り組む動きも出てきている。

 野生鳥獣の捕獲や食肉加工、販売などに取り組む有限責任事業組合「一網打尽」(南丹市美山町盛郷)は昨年、乾燥機を導入し、シカ肉を犬用ジャーキーに加工して販売を始めた。近隣の道の駅「美山ふれあい広場」や「京都新光悦村」で扱い、売れ行きは好調という。調理師で営業を担当している梅棹レオさん(38)は「ジャーキーは添加物がなく、犬のご褒美のおやつとして、愛犬家に喜ばれているようだ」と語る。

 脂肪が少ない、ヘルシーな食材として近年人気を集めるジビエ。農林水産省の野生鳥獣資源利用実態調査によると、2019年度の全国の利用量は2008トンで、16年度の1・56倍まで増えた。しかしコロナ禍で繰り返し出された緊急事態宣言で、多くの飲食店が休業に追い込まれた。府内の食肉処理施設が19年度に販売した食肉は31トンで、前年度比で14%減少した。

 同組合でも首都圏や京都市内のレストランに出荷してジビエを提供し、コロナの影響で売り上げが半分ほどに落ちた。しかしコロナ禍であっても猟師たちが有害鳥獣として駆除したシカが組合の作業場に持ち込まれ続け、在庫を保管する冷凍庫は満杯になった。梅棹さんは「狩猟を行わなければ、シカの数は増え過ぎてしまう。持ち込まれれば当然解体を行うが…」と声を落とす。

 食肉としての利用が停滞する中、注目を集めているのがペットフードだ。農水省の19年度の利用実態調査では、513トンと16年度(150トン)の3倍以上で、販売金額も約3・6倍の2億9300万円に上った。

 府内で狩猟が盛んな丹波地域では、以前からペットフードを手掛ける事業者があり、コロナ禍で売り上げが伸び悩んでいた同組合も製造に踏み切った。一般社団法人「ジビエペットフード協会」(東京都)は「同様の事例は全国的にも広がっている。ペットの主食やおやつとして市場も拡大する傾向にあり、参入する業者はこれからも増えるのではないか」とみる。

 10月には緊急事態宣言が解除され、全国で多くの飲食店が再び店を開けた。鍋物のシーズンを迎え、食肉としての需要が回復していくことも予想される。梅棹さんは「いずれコロナが終息すれば、ジビエを提供する機会もまた増える」と期待する。

 一方でペットフード製造にも手応えを得て、今後より力を入れる方針で、ジャーキー作りに必要な乾燥機の増設も予定する。逆境の中、開拓した新たな市場を確かなものとするため、取り組みを続ける。

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