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「衆院選の選挙公報が届かなかった」 背景には町内会や自治会を巡る問題が

京都新聞 / 2021年11月22日 6時0分

今回の衆院選で配られた選挙公報

 10月31日に投開票された衆院選で、京都市内の読者から「選挙公報が自宅に届かなかった」といった相談が京都新聞社に寄せられた。選挙公報は全戸配布が原則だが、なぜ届かなかったのか。理由をたどると、自治会や町内会を巡る問題が背景にあることが分かった。

 相談を寄せたのは北区の女性(63)。投開票後の11月2日、選挙公報が届いていなかったことに気付いた。「これまでは来ていたのに」。疑問に思ったが、思い当たる節があった。女性は4月に町内会を退会していた。京都市では、選挙公報の配布は市独自の非常勤特別職「市政協力委員」に委託されており、女性が暮らす地域では町内会長が同委員を務めている。女性は配布されなかった理由を「町内会を抜けたからでは」と推測した。

 案の定、女性が近所の人に聞くと、この地域では3年前から町内会員以外に選挙公報を配らないと決めていた。市に問い合わせると、担当者は「市政協力委員には全戸配布するようお願いしているが、強制はできない」との回答だったという。女性は「町内会に未加入だからといって、投票のための貴重な判断材料である選挙公報を配らないのはおかしい」と憤る。

 公職選挙法170条では、選挙公報は市町村選挙管理委員会が有権者の全世帯に投開票2日前までに配布しなければならないと明記している。配布方法は地域によって異なり、京都市の近隣では宇治市がポスティング業者に委託しており、大津市は新聞配達業者への委託などで配っている。

 京都市選管は、市政協力委員に配布を委託している理由について「地域の事情をよく知っている市政協力委員にお願いするのが良いと考えている」と説明する。また、短い選挙期間中に素早く配るためにも約8千人に上る市政協力委員に任せるのが最も効率的という。

 では、なぜ相談を寄せた女性のように自治会や町内会に未加入だと届かない場合があるのか。伏見区の藤森学区自治連合会会長で、過去に市政協力委員を務めたこともある田村権一さん(71)は、背景に加入率が年々低下している問題があると指摘する。

 藤森学区では自治会・町内会の加入率が50%を切っている。未加入世帯が増えれば増えるほど、自治会や町内会で何らかの役職を兼ねていることが多い市政協力委員から「なぜ会費を払っていない人のために配らなければいけないのか」という不満の声が増してくるという。

 市政協力委員は市広報紙の「市民しんぶん」も毎月配っている。市民しんぶんも全戸配布できておらず、今年4月現在の配布率は83%にとどまる。

 市内の自治会・町内会の加入率は2018年度で67・7%(推計)。14年度から2・1ポイント減った。田村さんは「選挙公報だけでなく、市民しんぶんの配布を負担に感じている市政協力委員は多い。加入率が下がっている今、市政協力委員に任せる配布方法は時代に合わなくなってきているのでは」と疑問を呈する。

 選挙公報 公職選挙法に基づき選挙の際に都道府県や市町村の選管が発行し、有権者に配布する文書。衆院選では小選挙区と比例代表の候補者の名前や経歴、公約などが記載されている。

 市政協力委員 1953年に始まった京都市の制度で、市民しんぶんや選挙公報の配布、市広報板へのポスター掲示などを担う。市長が委嘱(任命)する非常勤の特別職公務員で任期は1年。委託料は20円×配布世帯数×12カ月。2021年度は8213人に委嘱し、予算は1億4300万円。選出方法は地域によって異なり、自治会長や町内会長が兼ねると決めている場合もあれば、同じ人が長く務めている事例もある。

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