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社説:投票所の削減 棄権増やさぬ策を柔軟に

京都新聞 / 2021年11月29日 16時0分

 選挙の投開票日に、公共施設などに設けられる投票所の数が減っている。先月行われた衆院選の投票所は全国で4万6500カ所と、2000年に比べ7千カ所近く減少した。

 高齢化や人口減で、投票所の維持が難しくなっていることが背景にある。民主主義の基本である投票権をどう保障するか、自治体の対応が問われている。

 衆院選後の今月中旬、南丹市選挙管理委員会が投票所を現行の68カ所から37カ所に減らす案をまとめたことが明らかになった。立会人などの人員確保や経費の負担を軽くするためという。投票所が遠くなる一部の地域には期日前投票の機会を増やすとしているが、高齢者からは「遠くなるなら行かない」との声も上がる。

 滋賀県内では、東近江市選管が5年前、それまでの102カ所を53カ所に再編した。長浜市選管も来年2月の市長選から、123カ所を37カ所に大幅削減する予定だ。

 各市に共通するのは、「平成の大合併」後も旧市町の投票所を引き継いできた点だ。少子高齢化が進んだことに加え、期日前投票の普及で投開票当日に投票する人の割合は減ってきている。当日投票所の再編は時代の流れとの側面もある。

 ただ、移動手段が乏しく、独り暮らしの人が多い地域では、投票率のいっそうの低下を招きかねない。選挙運営の効率化と住民の投票機会の保障をどう両立させるか、具体的な方策が必要になる。

 東近江市選管は投開票日に、希望する有権者の自宅と投票所を結ぶ無料の送迎タクシーを運行している。

 長浜市選管は今回の削減に当たって実施した市民アンケートの回答を踏まえ、削減後の37投票所の全てを「共通投票所」にし、有権者がどの投票所でも利用できるようにする方針だ。

 共通投票所は2016年の公選法改正で設置できるようになったものの、19年参院選では全国45カ所、先月の衆院選でも同68カ所にとどまる。普及には二重投票などの不正を防ぐ仕組みが必要で、信頼できる情報通信システムの整備も欠かせない。

 重要なのは、地域の意見を丁寧に聞くことだ。有権者と対話し、投票所を再編した場合の影響を検証する。いったんなくした投票所でも、場合によっては元に戻すなどの決断も必要だ。

 棄権を増やさないためにも、選管にはそんな柔軟さを持ってもらいたい。

 選挙を巡っては、投票用紙の交付や本人確認、開票、集計などに関わるミスが年々増加していることも課題だ。19年参院選でのミスは全国200件と、1998年の5倍超になった。

 行財政改革などで自治体職員が減り、選挙実務の経験やノウハウを蓄積しにくくなっているためとの指摘がある。

 人口減少を背景にした投票所の削減とも、根底に流れる問題は共通しているように思える。 

 地域で選挙の執行や管理を続けていくためにも、自治体は知恵を絞る必要がある。

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