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社説:辺野古巡る対立 「移設ありき」のままでは

京都新聞 / 2021年12月5日 16時0分

 沖縄県の米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画を巡り、県と政府の対立が改めて激化しそうだ。

 防衛省沖縄防衛局が埋め立て予定海域の軟弱地盤に対応するため昨年4月に申請していた設計変更について、玉城デニー知事が先月、不承認としたためだ。

 理由として、軟弱地盤の最深部を調査しておらず、地盤の安定性を十分検討していない点を指摘した。

 絶滅危惧種のジュゴンに与える影響についても調査が不十分だとした。

 玉城氏は「完成の見通しが立たず、事実上、無意味な工事をこれ以上継続することは許されない」と強調した。

 これに対し、政府は行政不服審査法に基づく審査請求などで対抗する構えだ。

 不承認区域外では工事を続けており、移設の既成事実化を進めようとしている。

 地元自治体の判断と指摘を全く無視する強硬姿勢が溝を深めている。「辺野古移設が唯一の解決策」と繰り返すだけでなく、立ち止まって対話に応じるべきだ。

 専門家が「マヨネーズ並み」と例える軟弱地盤を巡っては、防衛局が2018年の埋め立て開始後に存在を認めたが、その3年前の段階で地質調査業者から報告を受けていたことが先日、明らかになった。

 政府はこの事実を公表していなかった。こうした移設ありきの強引で不誠実な姿勢が地元の不信感を増幅させている。

 設計変更により、工期が当初の5年から約9年3カ月に延び、総工費も約2・7倍の約9300億円に膨らむと想定されている。

 工事の大幅な変更と期間延長は現実的な計画といえるのか。疑問は拭えない。政府は根拠を明確に示す責任がある。

 辺野古移設に関しては、19年2月の県民投票で「反対」が7割超となった。同年7月の参院選沖縄選挙区でも移設反対を掲げた野党統一候補が当選した。

 だが、今年10月の衆院選では、名護市を含む沖縄3区で移設容認の自民党候補が反対派を破り、民意の揺れもみられる。

 来年1月の名護市長選は、自民が推す現職と移設反対を掲げる「オール沖縄」の新人との一騎打ちになる見通しだ。9月に任期満了を迎える県知事選も控える。

 県内では若い世代を中心に、基地問題の争点化を嫌う「辺野古疲れ」も指摘される。

 日米が普天間飛行場の「5~7年以内」の返還で合意してから今年で25年がたった。

 岸田文雄政権も安倍晋三・菅義偉両政権に続いて、辺野古への移設方針を変えず、その理由も語っていない。県民の分断は進むばかりだ。

 この間、普天間の危険な状況は解消できていないことを政府は重く受け止めねばならない。

 来年は沖縄が本土に復帰して50年の節目となる。いまだに在日米軍専用施設の7割が集中している負担をどう軽減させてくのか、岸田政権は具体的な見通しを示し、県民と向き合うべきだ。

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