【独自取材】公衆浴場の「不適切な性的行為」放送をきっかけに“全国初のポスター”が完成 公衆浴場組合、行政、警察が一体の取り組み、新たな対策に乗り出した施設も登場
KYTニュース / 2024年10月5日 14時2分
news every.かごしまが継続取材してきた「公衆浴場の不適切な性的行為」。男湯で男性同士が抱き合ったり、それ以上の行為に及ぶなど深刻な問題となっていました。
業界では「パンドラの箱」として扱われ、表に出ることが少なかったこの問題、番組の放送をきっかけに公衆浴場組合、県、鹿児島市、警察が一体となった取り組みが始まりました。行政、警察、組合が連名の全国初のポスターが完成しました。
新たたな取り組みに乗り出した施設も出始めています。
公衆浴場の知られざる闇、撲滅に向けた対策を取材しました。
■人気の公衆浴場が閉店 その理由にあげたのが…
鹿児島市武の太陽ヘルスセンターの閉店で明るみになった公衆浴場の不適切な性的な行為。施設は問題行為を繰り返す人たちをブラックリストにまとめていました。
(太陽ヘルスセンターの元スタッフ)
「迷惑行為という形でぼかしているがサウナの中で抱き合ったり、いかがわしい行為に及んだり。人数として把握できないぐらいですね」
迷惑行為を繰り返す人は、高齢者が多かったということです。入店禁止の文書に署名してもらうなど対応しましたがそうした客が減ることはありませんでした。10年以上悩まされてきた深刻な問題。警察に相談しても現行犯でなければ検挙は難しかったということです。
■放送後、全国から大きな反響 「子供が見たらトラウマになる…」
今年4月と6月にnews every.かごしまで放送したこの問題を取り上げると、全国各地で問題が起きていると多くの声があがりました。
(ネットの書き込み)
「行きつけの銭湯で似たような場面に遭遇したことがある。もう勘弁してくれ!」
(ネットの書き込み)
「子供が見たらトラウマになる。やめて欲しい」
■公衆浴場組合「営業妨害。LGBTを否定しているわけではない」
鹿児島市武の太陽ヘルスセンターは10年以上繰り返された問題行為を1つの理由にあげて今年3月に閉店しました。組合はこう訴えます。
(鹿児島県公衆浴場業生活衛生同業組合 鹿児島市支部 永用八郎支部長)
「営業妨害ですよね。LGBTを否定しているわけではない。行為自体をされるのが困っているわけです」
■鹿児島市 下鶴市長「当該行為を禁止する規定はない」
鹿児島市の下鶴市長にこの問題について聞きました。
(内田直之キャスター)
「行政でバックアップできることがあるのか?できる可能性はあるのか?どう考えますか?」
(鹿児島市・下鶴市長)
「条例においても当該行為を禁止する規定はない所です。鹿児島県公衆浴場組合からの要望があれば国や県、他都市の状況や地域の実情、社会情勢の変化に応じて検討していくことになるだろうと考えます」
「条例でこうした行為を禁止する規定はない」と具体的な対策は示されませんでしたが、組合からの要望があれば検討するとしました。
■行政、警察、組合一体の“全国初の取り組み”がスタート
下鶴市長の会見から4か月。組合と行政が一体となった取り組みが一つ実を結びました。9月にお披露目されたのは組合、県、鹿児島市、鹿児島県警が連名のポスターです。公衆浴場でのわいせつ行為は犯罪だと呼びかけるこうしたポスターは全国で初めてだということです。
(鹿児島県公衆浴場業生活衛生同業組合 鹿児島市支部 永用八郎支部長)
「太陽ヘルスセンターをご存じでしょう。廃業しました。その中に問題としてこれがあったんです」
永用支部長は温泉の愛好家たちに、迷惑行為の現状を伝え理解を求めました。
(鹿児島県公衆浴場業生活衛生同業組合 鹿児島市支部 永用八郎支部長)
「ネットの書き込みでここに何時何分にいるから来てね。集まるんです。知っている者同士で行くのではなくて知らない者同士の出会いの場所になっている。非常に不愉快な思いをしているわけです。お客様が。そういう行為自体がわいせつ行為だよ。お子さんもいます」
■公衆浴場の不適切行為は「パンドラの箱」だった…
温泉の愛好家もこうした行政の動きを歓迎します。
(温泉愛好家)
「僕も若い頃はそういう場に直面したことがある。寄ってくるんですよ。なくすためにはルールが必要ですよね。そういう方はご遠慮くださいと」
温泉の様々な情報を発信する温泉ソムリエ師範の六三四さんは…
(温泉ソムリエ師範・六三四さん)
「ずっと昔からあったはあった問題。みなさんがオブラートに包むような感じだった。あるんだけど誰も表に出さない状態が続いていた。パンドラの箱。今回、KYTが番組で取り上げてくれたことが新しい糸口、動きにつながったと思います。いい方向に動いてくれたのが良かった。警察、県、鹿児島市、色んな所がこれは良くないと表に出した。温泉の健全な利用に繋がると思う」
ポスターのデザインを担当した鹿児島市小野のお乃湯の末吉さんは…
(お乃湯・末吉ふずきマネージャー)
「みなさんに周知してもらうことで犯罪なんだと一般共通認識になることが一番大事だと思う」
「利用者も含めたみんなで監視の目を高めて健全な公衆浴場を実現したい」と話しました。
■警察も巡回、新たな対策を打ち出す施設も登場
組合の呼びかけに行政や警察が応じたことで施設側も堂々と対策を打ち出せるようになりました。
(内田直之キャスター)
「新しくできたポスターを早くもサウナ室に貼り出している施設もあります。公衆浴場でのわいせつ行為は犯罪ですと訴えています」
至る所にポスターを貼り出しました。太陽ヘルスセンターの閉店は他人事ではないと感じたようです。
(一本桜温泉センター・石峯しげ子さん)
「スタッフみんなでそういう話はしていた。太陽ヘルスセンターに行っていたお客さんが流れてくるよね。たぶん今までと違うお客さんの層に変わってくるよねという話をしていた」
施設の見回りや客への呼びかけに力を入れるようになりました。また、警察にも協力をお願いしていると言います。
(一本桜温泉センター・石峯しげ子さん)
「警察もそういうことがあったと気にかけてくれてパトロール、巡回を前よりこまめにしてもらっている。たまに中に入ってきてもらう」
「万が一、不審な行為を見かけたときは迷わずスタッフに声をかけて欲しい」と話していました。
■公衆浴場は鹿児島の重要な観光資源
(内田直之キャスター)
「番組で取り上げてから公衆浴場での不適切な行為は、鹿児島県内ではかなり減ったようですが一部の施設で一般の客が巻き込まれる被害がありました。組合の責任者は完成したポスターが鹿児島から全国に広がって欲しいと話していました。鹿児島にとって公衆浴場は重要な観光資源です。子供から大人まで誰もが安心して利用できる施設にするためには、みんなで守っていく意識が大切だと思います」
(KYT news every.かごしま 2024年9月30日放送)
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