【一生懸命はカッコいい】人生を変える舞台に挑む若者たち
KYTニュース / 2024年12月30日 15時50分
歌や踊りを組み合わせる、沖縄の伝統芸能「組踊」を舞う劇団が伊佐市にあります。伊佐市の幼稚園児から高校生で作る、「チームちむどん」です。”一生懸命はかっこいい”を合言葉に組踊を通して、地元の歴史を伝える舞台に励む若者たちの姿を追いました。力強い掛け声と踊り。見る人をつかんで離さない迫真の演技。伊佐市の劇団、チームちむどんです。
■チームちむどんはなぜ結成された!?
今月6日。伊佐市の旧大口南中学校には練習に励む団員の姿がありました。練習しているのは「組踊」。芝居や音楽、踊りを組み合わせた沖縄の伝統芸能です。胸が高鳴ることを意味する沖縄の方言「ちむどんどん」から「チームちむどん」と名付け、2014年に結成。市の地域おこし事業の一環で伊佐市にある3つの高校の生徒を沖縄に連れていき、組踊の舞台を見せたのが結成のきっかけでした。
(チームちむどん・前田 健二世話役)
「それを見た高校生達が市長に報告会があった。そのときに”私たちもキラキラしたい”と言い出して」
今年で結成から10年。ちむどんは若者たちの居場所のみならず、人口減少が進む伊佐市に活力を与える存在になっていると言います。
(チームちむどん・前田 健二世話役)
「スタート時が子供たちの人材育成だがそれに関わる大人の勉強にもなるので貢献というか刺激を地域に与えられたら」
(チームちむどん・三重 優仁さん)
「止める、止める、まっすぐ。しっかり上」
チームを引っ張っているのは三重 優仁さん。高校3年生、チームの最年長です。自宅でも自主練習に励んでいました。三重さんが、ちむどんに入るきっかけとなったのは、父の雅哉さんの影響。雅哉さんは、ちむどんの舞台を支えるバンドメンバーの1人です。
(父・雅哉さん)
「子供にもさせた方がいいと思ってそれから二度断られたけど最初は恥ずかしいじゃないですか、3回目でやっと始まった」
三重さんは最初、活動について“後ろ向き”だったと言います。
(三重 優仁さん)
「舞台に出るのがすごく演技が恥ずかしくて苦手で何回も失敗して人前で恥をかいてきてたくさん」
■三重 優仁さんが舞台から得たものは!?
やり続けること約5年。ちむどんとの出会いで、ある夢も芽生えました。
(三重 優仁さん)
「今の俳優という夢もちむどんに入っていなければ絶対なかった。自分の中で今、演技が生きがいというか演技が人前でやって感動した貰うのがすごく大きな存在になっている」
高校卒業後は俳優として、新たな道を進む三重さん。チームちむどんのメンバーとして、最後の公演に臨みます。
迎えた当日。開演1時間前の楽屋には慌ただしく準備をする三重さんの姿がありました。その後、本番前に毎回行っている声出しへ。後輩やスタッフを前に思いが溢れます。
(三重 優仁さん)
「僕はチームちむどんに入ってずっと一緒に成長してきて嫌いだった自分が少しは好きになれて友達もたくさんできて、たくさん最高の思い出もできた」
そして…舞台の幕が開きました。披露するのは現代版組踊「鬼武蔵~TADAMOTO忠元」。戦国時代の伊佐の武将で島津家に仕えた新納 忠元の生涯を描いた物語です。戦で息子を亡くしながらも薩摩をよくするために奮闘し、豊臣秀吉にも認められ、70歳を超えても先陣に立ち続けます。
(芝居)
「えいえいえい!命が惜しいものはさっさと立ち退け!道を開けよ!我の名は、新納武蔵守忠元なり!」
しかし、長年支えてくれた最愛の妻、芙蓉に先立たれ、永遠の別れを前に桜の木の下で歌を交わすのでした。
(芝居)
「芙蓉よ、我が妻よ。わしを残し先立ったお前に、わしはこの満開の桜をみせてやりたかった」
新納忠元の勇猛果敢な生涯を演じ切りました。
(観客)
「みんなが頑張っている姿と歴史を教えてもらったのがすごくじーんときて、みんなに拍手を送りたい」
(塩田県知事)
「あっという間の3時間で素晴らしい踊りと音楽と歌と伝統芸能も盛り込まれた素晴らしい舞台だった」
(三重 優仁さん)
「次のこの先を想像すると後輩たちが頑張ってくれると思うのでそういう意味ではすごくワクワクしている」
(チームちむどん・前田 健二世話役)
「メンバーが個性を生かしながらも一つになれるのがこの舞台。今後の伊佐を担ってくれる若者、人材を育成するのが目的なので少しはできたかなと。今後も育てていけたら」
若者たちの輝く姿が地域の光となることを信じて。これからも 胸が高鳴る舞台を作り続けます。
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