頭皮のニオイ、髪のパサつき…専門家に聞く夏のヘアケア術
つやプラ / 2020年9月4日 21時30分
連日、猛烈な暑さが続き、夏バテ気味という人も多いのでは。残暑の時期になっても強い日ざしが降り注ぎ、汗をかくことが多い夏は髪にとっても過酷な季節。
夏のヘアケアで気をつけるべきことを株式会社ミルボンの研究開発部 基礎研究グループの青山日和さんに教えていただきました。
■汗をかくと頭皮が臭い…どうやってケアすればいい?
「夏は汗をかくだけでなく、頭皮の皮脂分泌も増加します。頭皮の皮脂が夏の強い紫外線によって過酸化脂質となって、ニオイやべたつきの原因となります。さらに、頭皮の炎症につながることも分かっています」
「汗をかいた日に行いたいケアは、頭皮のディープクレンジングです。炭酸シャンプーは泡が細かく、頭皮のクレンジングにおすすめです。また、炭酸による血行促進効果もあるので、頭皮環境改善につながります」
「外出先で汗をかいた時は、頭皮の冷却スプレーなどを使うと、不快感が軽減されるだけでなく、頭皮が冷えて汗が抑えられ、ニオイを防ぐこともできます」
■夏は頭皮の細菌が繁殖しやすい?
「一般的に細菌が繁殖しやすい条件は、温度、水分、栄養です。夏場の頭皮は、体温、汗&湿気、皮脂があり、細菌が繁殖しやすい条件が揃っていると言えます」
「頭皮の細菌が繁殖しすぎるとニオイにつながります。また、白髪の回でお話した、コリネバクテリウムの異常増殖のように、白髪につながる菌も存在しますので、頭皮の細菌の繁殖を抑えるケアを行いましょう」
■スカルプフローラのバランスを保つためのケア
頭皮には、腸や肌と同じように細菌叢(スカルプフローラ)があり、バランスが崩れるとニオイやかゆみ、フケ、炎症の原因となります。頭皮の細菌の繁殖を抑えて、スカルプフローラのバランスを整えるには、どんなことを気をつけてケアをすればいいのでしょう。
(1)シャンプーする時は頭皮をしっかり洗う
「洗髪時は、お湯で予洗いをしっかりし、シャンプーで髪ではなく頭皮を洗いましょう。洗い残しがないよう頭皮全体を、爪を立てずに指の腹で揉むように洗います」
「頭皮には善玉菌・悪玉菌・日和見菌がいます。殺菌効果のあるシャンプーもありますが、善玉菌まで殺菌してしまい、スカルプフローラのバランスが崩れてしまうので、フケやかゆみが出ている時以外は、殺菌効果のない頭皮用のシャンプーを使った方が良いと思います」
(2)頭皮をしっかり乾かす
「頭皮が湿っていると細菌が繁殖しやすくなります。シャンプー後、ドライヤーをかける時は頭皮をしっかり乾かしましょう」
「髪の毛は乾かしても、頭皮を乾かしていない方が多いのですが、ドライヤーを当てるのは頭皮と髪の根元から。頭皮を乾かすとドライヤーの風が流れて、髪も自然と乾きます。髪ばかりにドライヤーを当てると乾かしすぎになって、髪のパサつきの原因にもなります」
■夏の終わりに髪がゴワつくのは紫外線のせい?
「過剰な紫外線も熱も髪にダメージを与えます。一番顕著なダメージとしては、キューティクルのダメージです。キューティクルが傷むと手触りも悪くなり、乾燥してパサつきやすい状態になります」
「紫外線が気になる場合は、紫外線カット成分が配合された洗い流さないトリートメントがあるので、出かける前にベタつかない程度につけると良いと思います」
「紫外線だけでなく、ドライヤーやアイロンなどの熱も髪のダメージの大きな原因です。ダメージを防ぐために、ドライヤーなどの前には洗い流さないトリートメントを使用してください。過乾燥も防げるので、パサつきの改善にも効果的です」
「熱を与えすぎると髪がゴワゴワと硬くなる、いわゆる『熱老化』が起こります。熱によるダメージの予防には、『ビサボロール』という抗酸化成分が有用なこともミルボンの研究でわかっています」
■健康な頭皮&髪のためには紫外線対策が必須!
「髪と同様、頭皮も紫外線や過剰な熱によってダメージを受けます。紫外線は頭皮を日焼けさせることになり、炎症の要因になります」
「頭皮が炎症した状態が続くと、白髪の原因となることも。そのため、頭皮にも顔や身体と同様の紫外線対策が必要です」
■頭皮を紫外線ダメージから守るケア
「頭は全身で一番日光に近い場所ですが、日焼け止めが塗りにくい場所でもあります。帽子や日傘などを上手に使って、紫外線によるダメージを軽減させましょう」
・屋外では、日傘や帽子を使って紫外線をあびない
・髪の分け目を少しずつ毎日変える
・日焼け止め効果のある髪用洗い流さないトリートメントを分け目につける
「帽子をかぶる場合は、蒸れてしまわないように通気性が確保できるものを選ぶことをおすすめします。室内では帽子を脱ぐなど、頭皮が蒸れないように気をつけましょう」
■紫外線を浴びた後のケアはどうすればいい?
「強い紫外線を浴びてしまった場合は、もちろん頭皮も髪もケアをしたほうが良いですね。具体的には、シャンプー後に頭皮用ローションで保湿をすると、頭皮の乾燥や炎症が抑えられます」
「ひどいダメージを感じた時は、上記に加えて、美容室でサロントリートメントやヘッドスパなどのスペシャルケアを行うと、状態の悪化を防ぐとともに、改善につなげることができます」
まだまだ暑い日が続きそうですが、頭皮や髪にも紫外線対策をしっかり行って、キレイな髪で秋を迎えましょう! 次回はうねりやボリュームダウンなど、気になる「髪のエイジング」についてお話をお伺いします。
【青山 日和さん プロフィール】
株式会社ミルボン 研究開発部 基礎研究グループ リサーチャー 近畿大学大学院総合理工学研究科修士課程卒。2014年ミルボン 入社。ヘアカラーチームにて主にオルディーブブランドの開発を担当。2019年からは基礎研究グループにてエイジング毛におけるケミカル施術(ヘアカラー、パーマ)の研究や製剤分析に従事している。
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