ヨガで更年期の不調が和らぐ!?専門家に聞く「更年期とヨガの関係」
つやプラ / 2020年10月7日 19時30分
つやプラ読者の関心事の上位に挙がる「更年期障害」。心身ともに様々な不調が出る可能性があると聞いて、無事に乗り切れるか心配という人も多いのでは。
そこで今回は、女性の健康と運動をテーマに研究を続けている摂南大学の佐久間夕美子准教授に、更年期の不調を軽くする運動についてお話をお伺いします。
■ヨガの呼吸は縮こまった心身をほぐすのに効果的!
ーー佐久間先生は更年期の女性を対象に、ヨガの健康効果を研究されていますが、なぜヨガを研究対象にしようとお考えになったのでしょうか?
「ヨガは女性に人気があり、トライしやすい運動であることが第一の理由です。エアロビクスやジョギング、ラジオ体操のような軽い運動、ストレッチも研究テーマとして検討しました」
「研究対象が働く女性ということで、みなさん忙しくて時間がないんですね。それに加えて家事もしているので、運動のために外へ出かけていくことが難しい。となると、家の中で簡単にできて、効果が期待できるものに限られてくるので、ストレッチやヨガが残りました」
「ストレッチは柔軟性や筋力の向上は期待できますが、それ以上の効果は見込めないのでは、ということになり、ヨガで研究を行うことになりました」
ーーたしかにヨガは自宅でも行いやすいですよね。研究されてみて、ヨガのメリットはどんなところだとお思いになりますか。
「ヨガの良いところは、呼吸を重視しているところですね。その呼吸法を取り入れることで、気持ちがほぐれたりとか、ストレスを感じたり落ち込んだりして縮こまった身体が開いていったりするんです」
「ヨガをすることで身体と心をのびのび開いていくことができるので、会社や家で忙しく働いていて、ストレスが溜まって体が縮こまりがちな人にこそおすすめですね」
■ヨガで骨盤内の血行を良くすると不調が和らぐ!?
ーー更年期と言っても、人によって感じる不調は様々だと思います。研究の中で、ヨガの好影響が感じられたのはどのような不調ですか。
「ヨガには先ほどお話ししたようなメリットがあるので、更年期の気分の落ち込みや、うまく言葉にできないようなモヤッとした不定愁訴のような不調、不安やストレスからくる動悸といったものは、ヨガをすることで軽快することが多いように思いました」
「また、ヨガを行って、月経前症候群(PMS)や月経痛が軽くなったという声もありました。ヨガの動きによって、骨盤内の血行が良くなったことが関係しているのだと思います」
「ただ、不調が軽くなると言っても、無理はしない方がいいですね。不調でつらい時も毎日行うというより、『自分がヨガをして気持ちがいいと感じる時に行う、気持ちがいいところまで伸ばす』というヨガの基本的な考え方に従って、おおらかな気持ちで取り組むのがいいと思います」
「例えば、少しヨガを行ってみて、気持ちがいい、調子が良くなる感じがすると思ったら時間を延ばすというように、自分の体調や精神状態と相談しながら行うのがいいですね」
■更年期前からヨガを行っていると不調が軽くなる!?
「更年期は人それぞれで、年齢や期間も異なりますが、更年期以前からヨガを継続して行っていた方と行っていない方の不調について、比較する研究が海外でされており、継続的に行っていた方は不調が軽めだったという論文もあります」
「ヨガ以外の要素の影響も大きく、単純に比較するのは難しいですが、継続して行うことの効果は見込めると思います」
「ヨガのポーズをした時に、『身体が気持ちよく伸びてる!』と感じる瞬間があるのですが、その感覚が得られる強度で、少しずつでもいいので続けていくことが大切だと思います」
「長く生きていると、決まった筋肉しか使わないようになっていき、使われない筋肉や関節が硬くなるんです。それをヨガのゆったりとしたポーズで動かすと柔軟性が上がるんですね」
「硬くなっているところをゆっくりと動かすことで、血行も良くなって、結果的に更年期の不調なども緩和されるのだと思います」
ーーこれから更年期を迎える方も、ヨガで血行を良くしておくといいんですね。
「そうですね。プレ更年期とも言われますが、ストレスなどで気持ちが不安定になって、ホルモンバランスの乱れや不調が起こることがあります。ヨガは心身両面に働きかけるので、ストレスが大きい方には特におすすめです」
「ヨガには、血行を良くして余計なものを排出するとともに、精神的なストレスを和らげる効果もあると言われています。ですので、ストレスリリースにも効果がありますが、ヨガは『治す』というより、『自分と上手に付き合っていく方法』なんです」
「更年期やPMS、生理痛などの不調がつらい時は無理をしないで、ヨガと並行して、婦人科で相談するなど、自分をサポートしてくれるものを選んでやっていくのがいいと思います」
「最近では自宅で動画を見て行うことができますし、同じポーズでも立って行ったり椅子に座って行ったりで強度を変えることも可能です。そういった間口の広さもヨガの魅力だと思うので、更年期の不調でつらい人は、まず簡単なものから始めてみて欲しいと思いますね」
「しばらく続けてみても変化が感じられず、つらい状況が続くようであれば、病院へ行くなど別のアプローチも検討してみてください」
■ヨガ仲間を見つけてハッピーな更年期を!
ーーヨガを始める上で気をつけるべきことを教えてください。
「行ってみて身体に痛みを感じるポーズは避けた方がいいですね。また、傷めている箇所がある人は、ポーズをしてみて痛みを感じるようなものは中止してください」
「いきなり道具を揃える必要はないと思いますが、床に柔らかく滑りにくいものを敷いて行うと、より安全に、安定した体位でポーズをとることができます」
「自宅で動画などを見てヨガをしていると、正しくポーズがとれているか分からず不安になってしまうことがあります。また、伸ばすべきところを伸ばせていない可能性もあるので、ヨガスタジオの体験レッスンへの参加なども選択肢のひとつです」
「ヨガは、自分を褒めながら行うと効果がアップすると言われているので、更年期の不調でつらい時期に合うと思います。そういったヨガの考え方を知るためにも、体験でいいのでレッスンを受けてみるといいかもしれません」
「レッスンやヨガサークルで仲間ができて、更年期のつらさを話せる、共感してもらえると精神的に楽になることもあるので、そういう意味でもレッスンに通うメリットはあると思いますよ」
「ヨガはゆっくりした動きなので、自分の身体と向き合う時間が生まれます。ポーズで頭を下げた時に、脚がカサついていることに気づいたりするんです。自分の身体を客観的に見ることで、お手入れをしようというモチベーションも生まれますよ!」
【佐久間 夕美子(さくま ゆみこ)先生 プロフィール】
摂南大学看護学部准教授。博士 (看護学)。日本健康医学会評議員。専門は基礎看護学。研究テーマは、女性の健康、妊産婦の支援、ヨーガ、健康教育、看護教育など。
(つやプラ編集部)
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