40代以降は歯もくすみやすい!?歯科医師に聞く正しい歯磨き&ホワイトニング術
つやプラ / 2021年1月7日 20時30分
年齢を重ねるにつれて肌や髪にエイジングを感じ、しっかりケアをするようになったという人は多いはず。では、歯や口中のケアはどうですか? 歯磨きは毎日しているけれど…という人がほとんどではないでしょうか? 実は、更年期世代は歯周病のリスクが上がる世代でもあります。
そこで、歯科医師で口もと美容スペシャリストでもある石井さとこ先生に、40代以降が行うべき歯と口中のケアについて教えていただきました。
1日1回はフロスで歯と歯の間の汚れを落として!
ーー前回、歯周病の予防にはプラークコントロールが重要と教えていただきましたが、毎日歯磨きをするだけでは不十分なのでしょうか?
「歯と歯ぐきの間に汚れが溜まりやすく、それをきちんと落とせないまま放置していると、プラーク(歯垢)が発生します」
「プラークは時間が経つと歯石に変わり、歯磨きでは落とせない状態になってしまいます。歯石があると歯肉が炎症を起こしやすく、歯肉炎や歯周病を引き起こします」
「それを防ぐためには、しっかりプラークをコントロールしなくてはなりません。ですが、歯ブラシで歯磨きしただけでは、汚れは50~60%しか落とせません。特に歯と歯の間、歯と歯ぐきの境目の汚れは歯ブラシだけで落とすのは難しいので、1日1回はデンタルフロスや歯間ブラシを使いましょう」
ーーフロスは難しくて、なかなか上手に使えません…
「フロスを使う際に大切なのは長さ! フロスが短いと上手に使えないので、長めにカットするようにしましょう。フロスを手に持って、ひじのあたりまで引き出してカットするとちょうどいい長さに。目安は30cmくらいです」
「カットしたフロスを左右それぞれの中指に巻きつけ、フロスが15cmくらいになったら、親指と人さし指でフロスを持ち、歯と歯の間に通します」
「歯1本ずつに巻きつけるようにフロスを沿わせて汚れを落とします。フロスはゆっくり動かして、歯肉にあまり当てないように。歯と歯の間の汚れを取るイメージで使いましょう。歯間の汚れが取れると、唾液が通るようになって、虫歯や歯周病の予防につながります」
歯間ブラシはゴシゴシせず、スッと1回通すだけでOK!
ーー歯間ブラシを使う際の注意点はありますか?
「歯間ブラシは、歯と歯の根元部分にできる三角形のすき間部分の汚れを落とすために使います。ゴシゴシとこすり過ぎないで、歯間にスッと一度通すだけでOK!」
「摩擦を繰り返すと歯肉が下がってしまい、一度下がった歯肉はなかなか元に戻らないので気をつけましょう。歯間ブラシにはサイズがありますので、歯間の広さに合わせて選んで。細めのものから試すと失敗が少ないですよ」
「フロスも歯間ブラシも歯磨きをした後に使ってみてください。歯磨きだけでは汚れがきちんと落とせていなかったことが分かると思います」
「ちなみに、歯磨きにフロスをプラスすると、汚れの除去率が80%に上がると言われています」
ーーフロスにホルダーがついているタイプもありますが、それでもいいでしょうか?
「ホルダー付きのものはフロスに慣れていない人でも使いやすい反面、歯の裏側や奥歯のコーナー部分の汚れが取りにくいという面もあります。長めに切ったフロスだと、そういった部分まで届くので、ぜひフロス使いをマスターして欲しいと思います」
歯磨き前の30秒の口ゆすぎを習慣に!
ーー歯磨きをする際の注意点についても教えてください。
「歯磨きの前に、必ずおちょこ1杯分くらいのぬるま湯で口をゆすぎましょう。しっかりと口を動かして30秒くらいゆすいでください。口ゆすぎを行うと、口の中の大きな汚れを歯磨き前に落とすことができます」
「シャンプーする際にお湯だけで髪を予洗いしますよね、それと同じで歯も予洗いしてから磨くんです。表面の大きな汚れが落ちているので、歯磨きで細かい汚れを落としやすくなります」
「歯を磨くタイミングも大切です。朝は起きてすぐに歯を磨きましょう。なぜなら、寝ている間は唾液の分泌が減り、口の中には便10gと同じだけの菌がいる状態になっているのです。それを体内に入れてしまわないために、起床後すぐの歯磨きを習慣にしましょう」
「夜は、歯ブラシだけでなくフロスや歯間ブラシも使い、その日の汚れをすべて落とす気持ちで丁寧に磨いてください」
「もう一つ気をつけたいのが、お風呂に入りながらの歯磨き。湯船につかりながら歯を磨く人もいると思いますが、ぼんやりと同じ箇所ばかり磨いてしまったり、身体を洗う感覚で歯磨きをしてしまい力加減が強くなり過ぎたりするので、おすすめしません」
ゴシゴシ磨きはNG! 歯を失う「大人虫歯」の原因にも
ーーよく湯船で歯磨きをしていました…汚れを落とそうと、つい力が入ってしまうこともよくあります。
「口の中にはエナメル質という硬い組織で覆われた歯と、デリケートで摩擦に弱い歯肉のどちらもあるので、力加減には注意が必要です。歯ぐきに歯ブラシを当てる時は、爪の甘皮をこすってくすぐったいと感じる程度の強さが目安です」
「歯ぐきをマッサージする時は『柔らかめ』、歯は『普通』と歯ブラシを使い分けるのもいいと思います」
「硬い歯ブラシで歯を強くこすり過ぎると、歯の表面のエナメル質がはがれてしまい、虫歯ではないのに、しみるような痛みを感じる『知覚過敏』になることも」
「また、摩擦で歯肉が下がってしまうとなかなか元に戻らず、歯根部分が露出してしてしまうことがあります。歯根は柔らかな象牙質で、硬く丈夫なエナメル質で覆われていません。象牙質の歯根は、摩擦で削れやすいだけでなく、虫歯にもなりやすく、非常にお手入れが難しい部分。ここが虫歯になってしまうと、ある日突然歯が折れてしまうこともあります」
「象牙質の虫歯は大人に多いので『大人虫歯』と呼んでいます。大人虫歯は歯ぐき側で虫歯になるので見つけにくく、神経に近いところで虫歯になるので、手遅れの状態で見つかることも多いのが特徴です。歯が折れてしまったり、抜歯するほかなく、入れ歯になってしまうことも」
なりたい歯や口もとに合わせたマイ歯磨き粉を!
ーー大人虫歯にならないように、きちんとお手入れしようと思います! 先ほどお話いただいたフロス、歯間ブラシ以外に、用意するといいアイテムはありますか?
「インタースペースブラシという先細のブラシもあるといいですね。これは、歯石になりやすい歯と歯肉の境目についた汚れを落とすのに使います。あとは、拡大鏡ですね。拡大鏡を見ながら磨くと、磨き残しが減ると思います」
「もう一つ『マイ歯磨き粉』も、つやプラ世代なら持って欲しいアイテムですね。年齢や口もとの状況が変われば、選ぶべき歯磨き粉も変わると思うからです」
「化粧水は年代や季節、肌のコンディション、なりたい肌などによって、使うものを変えたり、日によって使い分けたりしますよね。それと同じように歯磨き粉も、コンディションやなりたい口もとに合わせて使い分けるようになれば、口もとの美しさに磨きがかかる上、歯磨きの時間も楽しくなると思います」
ーースキンケアは使い分けるのに、歯磨き粉を使い分ける発想はありませんでした。つやプラ世代におすすめはどんな歯磨き粉ですか?
「先にお話したように、プラークコントロールしっかり行うことが重要なので、きちんと丁寧に歯磨きできるものがいいと思います。泡立ちがいい歯磨き粉は、口の中が泡でいっぱいになって長く磨けないことがあるので、発泡剤が少ないもの等もおすすめです」
「歯ぐきの状態が気になる人は歯周病予防効果がある歯磨きを、歯のくすみや着色が気になる人はホワイトニング効果のある歯磨きを、というようにお悩みやなりたい口もとに合わせて歯磨き粉を選ぶのもいいと思います」
40代の歯はくすみやすい? ホワイトニングするなら早めに始めて
ーー歯のくすみが気になるという声も多く聞きます。年齢を重ねると歯がくすみやすくなるのでしょうか?
「40代以降はエイジングの影響で歯のくすみや黄ばみが強くなったり、長年のゴシゴシ磨きでエナメル質が薄くなって、中の象牙質が透けて見えて黄ばんで見えたりしがちです。ホワイトニングをしても白くなりにくく、若い頃より回数が必要になると思います」
「特に40代で初めてホワイトニングをするという人は、なかなか白くならないこともあります。ですので、歯のくすみや黄ばみが気になっていて、ホワイトニングをしたいと思っている人は、早めにスタートすることをおすすめします」
「私のクリニックのホワイトニングでは、その患者さんの歯の中で一番白い歯を基準にホワイトニングしていくので、不自然に真っ白になることはありません。ホワイトニングの薬剤は年々進歩していて、虫歯を予防する働きもあるので、虫歯にもなりにくくなりますよ」
「ホワイトニングをしているとキレイな歯を保とうと思うので、歯磨きも丁寧になり、虫歯や歯周病予防にもつながると思います」
「ホワイトニングをする場合、クリニックでのホワイトニングとホームホワイトニングを併用することをおすすめします。より汚れがつきにくくなり、白さを保つことができますよ」
ーー40代になると歯もくすみやすくなるんですね…日常生活で気をつけられることはありますか?
「特に女性に多いのですが、1日中お茶をちびちび飲むのは歯の着色につながるので気をつけましょう。特に茶色いお茶、紅茶、ルイボスティー、ハイビスカスティーなどはステインという着色汚れが付きやすいんです」
「あとは、赤ワインもですね。白いカップで紅茶を飲んだ時のことを思い出して欲しいのですが、2、3日で普通に洗っただけでは落ちない茶渋が付きますよね。あれが歯にもついているというわけなんです」
「お茶を飲む時は、水も一緒に用意しておいて、お茶を飲む合間に水を飲んで、口の中を浄化するといいですよ。もちろんお茶を飲み終えた時に歯磨きをするでもいいと思います」
「コーヒーが好きな人は口臭にも気をつけて。コーヒー豆の粒子が舌に残りやすく、いわゆる『コーヒーブレス』という口臭につながりやすいのです。キレイな歯と息のために、お茶やコーヒーを飲む合間に水を飲んだり、口をゆすいだりする習慣をつけましょう」
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【石井 さとこ(いしい さとこ)先生 プロフィール】
歯科医師、口もと美容スペシャリスト。ホワイトホワイト院長。日本に歯のホワイトニングを広めた第一人者。歯と体を美しく保つための食事や、歯が美しく見える口もとメイクに関するアドバイスに定評がある。2005年から2012年までミス・ユニバース・ジャパン ナショナルディレクターからの要請で、歯をプロデュースするオフィシャルサプライヤーを務める。女優、モデル、タレントなどの信頼も厚い。著書に『マスクしたまま30秒‼︎ マスク老け撃退顔トレ』(集英社)などがある。インスタグラム:@satoko5331 『マスクしたまま30秒‼︎ マスク老け撃退顔トレ』(Amazon)
【前回の記事】
・舌の位置でたるみを予防?歯科医師に聞く「マスク老け解消法」
・更年期は歯周病に要注意!歯科医師に聞く「健康な口もとの保ち方」
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