ダイエットを失敗させる6つの思い込み
つやプラ / 2021年10月22日 12時0分
あなたはダイエットするとき、どんなことを気にしながら行っていますか?
夕方のある時刻以降は食べないようにしていたり、炭水化物を抜くように意識したりしているかもしれません。しかし、それらは実はそれほど気にする必要がないものなのかもしれません。
女性の体型改善の専門家であるパーソナルトレーナーの筆者が、ダイエットで良くある間違いと、成功するダイエットのポイントを解説します。
■それは迷信!?ダイエットを失敗させる6つの間違い
(1)夜○時以降に食べると太る
「夜遅く食べたら太る」というのは、多くの人が信じてきたダイエットの迷信です。
長期的な体重の変化を決めるのはエネルギー収支です。エネルギー収支とは、「摂取エネルギーと消費エネルギーの差」のことです。
私たちは普通に生活をしたり、運動をしたりなどで、エネルギーを消費します。そして体を動かすために必要なエネルギーを、お米やお肉などの食品から摂取します。
この消費と摂取の差が、エネルギー収支です。
摂取 > 消費
この状態が続くことで体重は増加しますし、その逆だと体重は落ちます。
しかし、「夜○時以降に食べた」ところで、摂取エネルギーが消費エネルギーを上回らなければ体重は落ちません。
いくつか実際に調査が行われていて、特に興味深いのがエルサレム大学のSofarらの調査です。
この調査では、食事量は同じで一日の大半の食事をお昼までに食べるグループと、夕方以降に大半をとるグループの二つにわけて、半年間追跡したところ、なんと夕方以降に大半の食事をとったグループの方が、より大きく体重や腹囲・体脂肪量の減少があらわれた結果が出ました。
これ一つで「夜遅くに食べた方がいい」とは断言できませんが、必ずしも「夜○時以降に食べると太る」とはいえない結果がでています。
ですから、食事の時間帯はさほど気にする必要はなさそうです。
(2)糖質は太る
「炭水化物は太りやすい」というのも、よく信じられている迷信の一つです。
前述したように、長期的な体重の変化はエネルギー収支で決まります。ですから、炭水化物の摂取が多かろうが少なかろうが、太りやすさに違いはありません。
Veumらの調査では、体重が減少するようにカロリーをそろえた、低炭水化物/高脂肪食グループと高炭水化物/低脂肪食グループで12週間の体重や体脂肪の変化の比較をしたところ、体重も体脂肪の落ち方にも違いはありませんでした。
炭水化物が太るというならば、高炭水化物グループの方が体重や脂肪の落ちが鈍いはずですが、実際にはそうはなりませんでした。
もちろんエネルギーの取り過ぎになるのであれば太りますが、エネルギー収支がマイナスになっているのであれば、ダイエット中でも極端に炭水化物を我慢する必要はありません。
(3)朝食は必ず必要
「朝食を食べないと太る」といわれることから、食欲がなくても必ず朝食を食べる方も多くいます。
しかし、「夜○時以降に食べると太る」で示したように、必ずしも食べる時間は関係なく、朝食を抜くと太るわけではありません。
大切なことは1日全体のカロリー収支ですので、朝食にお腹がすかず、お昼・夜によりお腹がすく方は、そちらに朝食を食べる分を回しても問題はありません。自分のリズムに合わせて食事をとることが大切です。
(4)タンパク質をとれば痩せる
現在ダイエットにおいて、タンパク質は非常に注目されている栄養素です。
筋肉量を多く残して減量ができたり、肌や髪に対してよい効果が期待できたり、満腹感を高めダイエットを楽に進めてくれることが期待できるなど、非常に多くの役に立つ効果をもつ栄養素です。
しかし注意しなければいけないのは、今までの食事にタンパク質を加えるだけではやせないということです。
見逃されがちですが、タンパク質は糖質と同じく1gあたり4kcalのエネルギー量を持っています。つまり、今までの食事にタンパク質を加えるだけでは、体重の減少は期待できません。むしろエネルギーの過剰摂取になって、体重の増加につながってしまう可能性もありますから、一日全体の食事量を調整した上で摂取する必要があります。
(5)とにかく野菜を食べればいい
確かに野菜は非常に低カロリーで、ビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富で、ダイエットにとって非常に便利な食品です。
お米やパン、お肉やお魚を食べずに野菜を食べていれば、体重は落ちるでしょう。しかし、そこに偏ると、健康を維持するために必要な栄養素は大幅に不足してしまいます。
糖質は脳を含めて全身のエネルギーになりますので、不足すると頭がぼーっとしたり、全身疲労感が出てきたりしてしまうでしょう。
また脂質はホルモンの材料になるため、不足するとそこからの体調不良も考えられます。
さらにタンパク質の不足は、筋肉量の減少とそれにともなう体力の低下が考えられます。
筋肉量が減少することで体脂肪率が上昇し、やせたとしてもスッキリしない体型になってしまうかもしれません。
健康を損なっては、その食習慣を維持し続けることは出来ません。ですから、野菜のみに偏った食事にならないように注意しましょう。
(6)減量には運動が必要
「毎日一生懸命運動をしているけれど、体重が落ちない」と悩んでいる方も多いと思いますが、そもそも運動の、「体重」を落とすことに対する効果は非常に低いのです。
実際に有酸素運動がどの程度減量効果があるのかについて、ワシントン大学医学部のKaren E. Foster-Schubertらは、平均年齢58歳・平均BMI30.9であった女性439名に対して調査を行いました。
この439名を、「なにもしない」「食事制限」「週5日・45分/日の有酸素運動」「食事制限+有酸素運動」をする4つのグループに分けて一年後の体重の変化を調査したところ、有酸素運動を行ったグループは1年間で-2.6kgほどの減量になりました。
(参考文献より筆者が作成)
確かに減量効果はあるのですが、週5日・1回45分の有酸素運動を1年間やって-2.6kgだと、ちょっと継続はキツいですよね。
しかし、食事制限を行った2つのグループは大きな減量効果を見せているため、体重を落とすためには運動ではなく、食事を改善することが大切であることが示されました。
運動は「体型」を整えることに対しては非常に効果が高いですが、「体重」を変化させるためにはあまり効果的ではないので注意しましょう。
■ダイエットを成功させるためのポイント
では実際にダイエットを成功させるためには、どの部分にフォーカスをすればよいのでしょうか?
フォーカスすることは3つ。「栄養バランスのよい適度な量の食事」「十分な睡眠」「適度な運動」これらに気をつけていくことが大切です。
(1)栄養バランスのよい適度な量の食事
ダイエットを成功させるためには急激に体重を落とすのではなく、ゆっくり体重が落ち、かつ健康が保たれるような内容で行うことが大切です。
よく「2ヶ月で体重が-10kgする」ような内容をSNSで見かけますが、それくらいの速度で体重を落とすのは、ハッキリいっておすすめできません。
パーソナルトレーナーとして推奨する減量速度は現実的に、1ヶ月で現体重の1.5〜2.5%程度をおすすめしています。
それくらいの減量速度であれば、毎食の内容を、お米やパン・お肉やお魚・野菜や海藻など必要な栄養素を十分にそろえた、継続できる食事内容にできます。
適度な速度で体重が落ちているかは、毎日体重計にのることで測定できます。自分の体重の変化をチェックしながら、適度な食事が出来ているかを見ていきましょう。
(2)十分な睡眠
ダイエットを成功させるためには、十分な睡眠も非常に大切です。なぜなら、睡眠不足は体脂肪の減少を抑えて、筋肉量の減少を促進するからです。
シカゴ大学医学部のNedeltchevaらは、睡眠時間が筋肉量や脂肪に対してどんな影響を与えるかを調査しています。
この実験では、参加者を5.5時間睡眠グループと8.5時間睡眠グループの2グループに分けて、両方ともに同じ内容の減量食を食べてもらい、2週間継続して実施しました。
その結果、8.5時間グループは2.9kg減量し、そのうち脂肪は1.4kgの減少でした。5.5時間グループは3.0kg減量し、そのうち脂肪は0.6kgの減少でした。
つまり、5.5時間グループは脂肪以外の組織が2.4kg落ちて、脂肪は0.6kgしか落ちませんでした。
このように、睡眠不足は「体脂肪」の減少に悪い影響を及ぼします。
厚生労働省は、6〜8時間程度の睡眠時間を推奨しています。ダイエットを成功させるためには、意識的に睡眠を多くとりましょう。
(3)適度な運動
運動は、あまり体重の減少には効果がありません。しかし体型の変化には効果が期待できます。
体重が落ちても、筋肉が大量に落ちてしまったら、体型にあまり変化は期待できません。ですから、体型をスッキリさせるためには、筋肉をできるだけ残しながら体重を落とすことが非常に重要になります。
そのためには、筋トレをすることで筋肉量を保ちながらダイエットを行うことが良いでしょう。
運動習慣がなければ週1回でもよいので、簡単な筋トレから始めると、体型改善に効果が見込めます。
つやプラのインスタグラムアカウントには多くのエクササイズ動画が掲載されていますから、ぜひチェックしてみてください。
ダイエットにはさまざまな「迷信」がありますが、それらに惑わされず、健康的で続けられるダイエットをすることが成功する秘訣です。無理なく継続をして、健康的で美しい体を作っていきましょう。
(パーソナルトレーナー 藤本 千晶)
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