指が変形することも!?更年期に起きやすい手指トラブル
つやプラ / 2022年11月25日 19時30分
更年期に起こりやすい手指のトラブルを知っていますか?
「年齢が上がるにつれて、手指のしびれが出てくるようになった」といった悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。
そんな手指のトラブルは、放置していると手の変形につながることもあるといわれています。
今回は、医師の木村眞樹子さんに、更年期に起こりやすい手指のトラブルについて教えていただきました。
■ただの加齢じゃない!?知っておきたい手指のトラブル
更年期は手指のトラブルが起きやすくなります。まず、手指トラブルの具体的な症状を紹介します。
ヘバーデン結節・ブシャール結節
手指の関節が腫れる、しびれる、痛むなどの症状が第一関節にあらわれることを「ヘバーデン結節」といい、第二関節にあらわれることを「ブシャール結節」といいます。
結節(けっせつ)は「しこり」とも呼ばれ、水ぶくれのような状態になることも。悪化すると指の動きが悪くなったり、変形したりすることもあります。
手根管症候群
正中神経(せいちゅうしんけい)は、上腕から指先までを通り、腕や指の動きを支配している大事な神経です。手首には手根管(しゅこんかん)というトンネルのような管があり、その中を正中神経が通っています。
疲労やホルモンバランスの乱れなど、さまざまな原因で手根管内の正中神経が圧迫されることにより、親指~薬指にしびれや痛みを生じるのが「手根管症候群」です。
ドケルバン病
ドケルバン病は、親指と手首をつないでいる2本の腱と腱鞘(けんしょう)が擦れ、炎症が起きることによって引き起こされます。
妊娠・出産時期や更年期に発症することもあれば、スマートフォンの使い過ぎによる手指の酷使が原因となることもあります。
母指CM関節症
母指CM関節症になると、ジャムの蓋を開けるときやドアノブを回すときなど、親指(母指)を使う動作を行う際、痛みや違和感が生じます。
CM関節とは親指の付け根の関節のことを指しており、母指CM関節症が悪化すると関節の軟骨がすり減り、炎症が生じることにより痛みも強くなります。
■更年期に手指の不調が起きやすいのはなぜ?
更年期に手指トラブルが起きやすいのは、女性ホルモンであるエストロゲンが減少することが主な原因といわれています。
エストロゲンには、関節や腱の腫れを防ぐ役割があります。そのため40〜50代で更年期を迎えエストロゲンが減少することにより、手指のトラブルが起こりやすくなるのです。
■日々のケアも大切!手指トラブルへの対策法
手指トラブル対策には、日々のケアや心がけも重要なポイントです。
手指を酷使しないようにする
スマートフォンやパソコン、ゲームなどで手指を酷使することにより、指の関節や腱をいためる方が急増しています。
片手で使用しないようにする、1時間の使用ごとに10分ほどの休憩を入れるなどの工夫をしましょう。
手指を温浴する
手指を温めることにより血流が良くなるため、こわばりや痛みが軽減されます。手指を冷やさないようにすることも重要な予防法のひとつです。
手指をマッサージする
手指の付け根や関節を押したりマッサージを行うなどして、手指を動かすことも対策として有効です。お風呂中など、からだが温まっているときにマッサージをすると、より効果を発揮できるでしょう。
エクオールのサプリを飲む
エクオールは女性ホルモンであるエストロゲンと似た働きをします。手指の痛みの原因がホルモンバランスの乱れからくる場合、エクオールが含まれるサプリを摂取することにより、手指の不調の改善が期待できます。
漢方薬を飲む
更年期の手指トラブルを解消する方法として、漢方薬を飲むという選択肢もあります。
手指トラブルは、関節や筋肉の障害、ホルモンバランスの乱れや血行不良、水分代謝の低下、冷えなどが原因として考えられます。
更年期の手指トラブルの改善には、「からだを温めて筋肉をゆるめる」「鎮痛や抗炎症作用で関節や筋肉の痛みをとる」「血流をよくして関節や神経の機能を回復する」「ホルモンバランスの乱れを整える」「水分の循環をよくして老廃物や疲労物質を排出する」「からだの熱を作る機能を回復する」といった働きのある生薬を含む漢方薬を選びます。
漢方薬は手指トラブルの根本改善を目的としているので、繰り返す痛みでお悩みの方にもおすすめです。また、自然由来の成分でできているため、一般的に副作用が少ないとされています。
毎日決められた量を服用するだけで良いので、手軽に始めることができるというのも利点です。
手指トラブルにお悩みの方におすすめの漢方薬
越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)
ヘバーデン結節・ブシャール結節に用いられて著効した例もある漢方薬です。関節の炎症や腫れに働きかけます。
疎経活血湯(そけいかっけつとう)
痛みやしびれのある方におすすめです。気、血(けつ)の流れをよくすることで、しびれや関節痛、神経痛に働きかけます。
手指のトラブルは、漢方を服用してすぐに効果を感じられることもあります。
慢性的に手指がしびれたり痛んだりしやすい場合には、中長期的な服用で体質からの改善を目指しましょう。
漢方薬を服用する際は、自分のからだに合ったものを選ぶことが大切です。からだに合わない漢方薬を服用すると効果が出ないだけでなく、副作用が出る可能性もあります。
そのため、漢方薬を服用する際は詳しい専門家に相談すると安心です。最近では、薬剤師がオンラインで自分に合う漢方薬を選んで、自宅に届けてくれるサービスもありますので、試してみるのもいいでしょう。
■手指トラブルには早めの対策が重要!
手指トラブルには早めの対策が肝心です。
マッサージや温浴など毎日の心がけも重要になるため、手指に少しでも違和感を感じたら対策を行うようにしましょう。
【監修医:木村 眞樹子(きむらまきこ)先生 プロフィール】
医師。医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科にて臨床に従事。妊娠、出産を経て、産業医としても活動するなかで、病気にならないからだをつくること、予防医学、未病に関心がうまれ、東洋医学の勉強を始める。臨床の場でも東洋医学を取り入れることで、治療の幅が広がることを感じ、西洋薬のメリットをいかしつつ漢方の処方も行う。また、医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、漢方のプロがAIを活用して自分に適した漢方薬を選びお手頃価格で自宅に郵送してくれる「あんしん漢方」でも情報発信をしている。
【前回の記事】
・40・50代のぽっこりお腹の原因?更年期のお腹の張り解消法
・更年期以降骨折が増える!?隠れ骨粗しょう症を防ぐには?
・怖いことばかりじゃない!閉経後に訪れる嬉しい変化
・閉経後は何が変わる?40・50代から備えるべきこと
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