そのむくみ「水滞」かも!だる重の原因と対処法
つやプラ / 2023年2月11日 12時0分
「夕方になると足が重くてだるい」「朝起きたら顔がパンパンに腫れている」「からだがだるくてつらい」と感じる方はいらっしゃいませんか?
それはからだが「水滞(すいたい)」という状態になり、むくんでいる可能性が高いです。
今回は、医師の木村眞樹子先生に、更年期の水滞について教えていただきました。
■むくみの原因?「水滞」ってどんな状態?
漢方では、人のからだは「気(き)」・「血(けつ)・「水(すい)」によって成り立ち、この3つの要素が互いに影響しあうことで健康が維持できると考えられています。
このうち「水」の巡りが悪くなっている状態を水滞といいます。
体内の水が排泄されずに水分循環が悪くなることで、余分な水分や老廃物が、からだにたまりやすくなります。
水滞の主な症状はむくみです。その他にも、胃の不調、頭痛、耳鳴り、めまい、立ちくらみなどがあります。
■更年期に水滞になりやすい理由
更年期における女性ホルモンの変化は、からだにさまざまな影響をもたらします。そのなかでも、なぜ水滞になりやすいのか、その理由をご紹介いたします。
女性ホルモンの低下
血行不良を引き起こすと女性ホルモンのバランスが崩れ、自律神経のはたらきが乱れます。その結果、体内の水の巡りが悪くなり、水分や老廃物の排出が滞ることで、からだのあらゆるところがむくみやすくなります。
顔がむくんだり、からだのだるさや脚の痛みを感じることがあります。
また、関節も余分な水がたまりやすい部位で、指が曲げにくい、腕が上がりにくい、動かしにくいなどのトラブルが出やすいといわれています。
リンパ機能の低下
体中を巡っているリンパ液は、不要な脂肪やたんぱく質などの老廃物を回収するはたらきがあります。
更年期はリンパ機能が低下することが知られており、むくみの原因のひとつです。
とくに、脚は重力の影響を受けるため、リンパ液の流れが滞ると余分な水分や老廃物がたまりやすく、むくみや重だるさを感じやすくなります。
胃腸機能の低下
胃腸は自律神経に強く影響される臓器です。
更年期では、精神的ストレスを感じる方が多く、女性ホルモンの減少に加えてこうした心理的要因も自律神経の乱れを引き起こし、胃腸の機能が低下する原因となります。
また、漢方の考えでも、水滞は胃腸に余分な水がたまった状態であり、胃もたれや下痢や便秘が起こると考えられています。
■むくみを撃退!水滞の改善法
からだを冷やさない
からだの冷えは血管を収縮させ、血行不良やリンパの滞りを引き起こします。冷たい飲み物や生もの、冷たいデザートなどの食べ過ぎに注意しましょう。
入浴はシャワーで済ませるのではなく、湯船にゆっくりと浸かり、からだを温めてリラックスしましょう。
ふくらはぎのマッサージ
ふくらはぎの筋肉は、心臓から足先に流れ出た血液やリンパ液を、心臓へ送り返すポンプの役割を担っています。
ふくらはぎの筋肉を刺激して動かすことで、ポンプ機能を活性化し、血液やリンパ液の流れの改善が目指せます。
お気に入りのアロマオイルなどを使用し、寝る前にマッサージをするのもおすすめです。
和食中心の食事
からだを温めるはたらきのあるニラやネギなどを使用し、薄味で胃腸にやさしい食事をこころがけましょう。
この場合は和食がおすすめです。水滞の方に適している食材は、大根、玉ねぎ、しいたけ、しめじ、しらす、小豆、米、梅などです。
揚げ物や甘いもの、脂肪分の多い食事は避け、暴飲暴食はやめましょう。
■水滞の改善には漢方薬も効果的!
セルフケアに加え、漢方薬を服用することで不調の改善を目指すこともおすすめです。
漢方薬はからだのバランスを整えながら、自然治癒力を高めていくことで、心とからだを健康へと導いてくれます。漢方薬の基本理念は、からだ全体のバランスを整えて偏りをなくすことであり、「気・血・水」など、東洋医学の考えをもとに、体の状態を分析し、その人に合った適切な薬を処方する、いわばオーダーメイド型の医療です。
更年期の水滞が原因で起きるさまざまな症状には、「水の循環をよくして老廃物の排出を促す」「胃腸機能を整える」「からだを温める」「女性ホルモンのバランスを整える」といった作用がある漢方薬を選びます。
水滞が気になる方におすすめの漢方薬
五苓散(ごれいさん)
体内の水分代謝を整えることにより、体内にたまった余分な水分を尿として排出してむくみ、頭痛などを軽減します。体力の有無に関わらず服用できます。
防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)
胃腸機能を高めることで胃内の余分な水分を減らして、むくみ、水ぶとりや関節痛を軽減します。疲れやすく色白で汗をかきやすい方におすすめです。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
胃腸機能を高めて、余分な水分を尿として排出することで、むくみを改善します。また、血流をよくしてからだを温めるだけではなく、栄養や潤いをからだに与えてくれるため、婦人科系疾患にも幅広く用いられます。疲れやすく冷え症で貧血気味の方におすすめです。
慢性的なむくみや胃腸の不調などには、中長期的な服用で体質からの改善を目指しましょう。
漢方薬を選ぶ際には自分の症状や体質に合ったものを選ぶ事が大切です。体質に合っていない場合は、効果が出ないことや、副作用が出ることもあります。購入時にはできる限り漢方に精通した医師、薬剤師等にご相談ください。
■更年期の水滞を体質から改善しよう!
むくみなどの更年期の水滞によるつらい症状改善には、セルフケアの実践と漢方薬が効果的であることがわかりましたね。ご自身が「これならできそう!」と感じるものから、日常生活に積極的に取り入れてみましょう。
【監修医:木村 眞樹子(きむらまきこ)先生 プロフィール】
医師。医学部を卒業後、循環器内科、内科、睡眠科にて臨床に従事。妊娠、出産を経て、産業医としても活動するなかで、病気にならないからだをつくること、予防医学、未病に関心がうまれ、東洋医学の勉強を始める。臨床の場でも東洋医学を取り入れることで、治療の幅が広がることを感じ、西洋薬のメリットをいかしつつ漢方の処方も行う。また、医療機関で患者の病気と向き合うだけでなく、医療に関わる人たちに情報を伝えることの重要性を感じ、漢方のプロがAIを活用して自分に適した漢方薬を選びお手頃価格で自宅に郵送してくれる「あんしん漢方」でも情報発信をしている。
【前回の記事】
・冬になると体がだるい…「冬バテ」を解消する方法
・更年期に花粉症が悪化?花粉の季節を乗り切るコツ
・性格や環境にも要因が!?更年期症状の出やすい人の特徴
・誰にも聞けない…更年期の陰部のヒリヒリのケア法
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