更年期の疲れを改善!日常でできるリセット法
つやプラ / 2023年6月28日 20時30分
「最近疲れやすい」「ぐっすり眠れない」という症状には、更年期が関係しているのかもしれません。「からだが常に疲れ、日中もボーっとしてしまう」という状態に心当たりがあるなら、注意が必要です。
今回は、横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長の医師、横倉恒雄先生、および薬剤師/臨床検査技師の木村英子さんに、疲れをリセットする方法について教えていただきました。
■更年期女性はなぜ疲れやすい?
閉経前後の約10年間を更年期と呼びますが、この時期は女性ホルモンのバランスが急激に変化し、心身ともに体調不良が起こりやすいといわれています。
女性ホルモンであるエストロゲンが低下すると、自律神経が乱れ、血行不良につながります。からだが冷え、エネルギー生産の効率も低下するため、「何をしてもしんどい」といったような、疲労感や倦怠感が常につきまとうのです。
また、更年期を迎える50歳前後は、仕事や子育て、介護など、人生にさまざまな変化が起きやすい時期です。肉体・精神の両面から追い詰められてストレスが積み重なり、無理に頑張りすぎてしまう方ほど疲れが出やすいのも特徴です。
疲労を感じる具体的な理由を3つ、見てみましょう。
(1)睡眠の質の低下
更年期の自律神経の乱れは、睡眠にも影響します。夜になかなか寝つけなかったり、途中で起きてしまったり、眠り全体が浅かったりするなど、睡眠の質が下がることで、日中に疲れて眠くなってしまうのが代表的な症状です。
また、女性ホルモンの変化により、暑くもないのに夜間に汗をびっしょりかいたり、悪夢をみてうなされたりと、からだを休めるはずの睡眠で疲れてしまうことも多くなります。
(2)食欲の変化
更年期になると、食欲が減退したり、逆に食べすぎてしまったりしてしまい、体重のコントロールがうまくいかなくなります。
太ったからといって無理な食事制限を行うと、本来からだに必要な栄養素まで不足し、余計にバランスが崩れて疲れやすい肉体になってしまいます。
(3)運動不足
運動不足はどの世代でも不健康のもとですが、からだのバランスが崩れやすい更年期に運動量が足りないと、代謝が低下し、ストレスもたまり、疲れやすいからだになってしまいます。
疲れやすさを改善するには、栄養・睡眠・運動の3つを見直すことが必要です。
■疲れをリセットする方法
疲れをリセットするための3つの方法を解説します。
(1)良質な睡眠をとる
質の高い睡眠をとるためには、眠りやすい環境を作ることがおすすめです。
素材にこだわった枕や、寝心地のいいパジャマ、落ち着く気分に浸れる暖色系の照明など、寝室をリラックスしやすい環境にしましょう。
(2)やるべきことを減らしてみる
「きちんとやらなくては」と思っている「やるべきこと」を、一部手放すこともお薦めします。
たとえば、手作りの食事は健康的ですが、毎日作り続けるのはけっこうな重労働です。
たまには息抜きとして、宅配サービスを利用してみるのもひとつの手。最近は栄養バランスがしっかり考えられたものが多く、健康にも気を遣えます。
宅配サービスなら、面倒な後片付けも必要ありません。たまには考え方を変えて、ラクをしてみるのもいいでしょう。
(3)毎日10分の運動習慣を
短時間でもいいので、毎日運動する習慣をつけてみましょう。
とくにおすすめなのが、運動不足になると真っ先に弱りがちな下半身の筋トレです。下半身の筋トレは運動不足を解消できるだけでなく、代謝アップにもつながり一石二鳥です。
骨盤8の字回し
下半身筋トレとして代表的な「骨盤8の字回し」をご紹介します。
(1)まず、直立した状態から足を開きます。肩幅よりやや広めを意識して、手は腰に添えます。
(2)腰を左右に回します。背筋をピンと伸ばし、右、左、右と順番に回してください。数字の8の字を横に倒した形を意識します。
(3)(2)とは逆回りに回します。
(4)これを各5回、計10回行います。
腸を刺激することで下腹の筋肉を鍛えることができます。毎日行えば、徐々に体幹が整い、骨盤が安定するようになります。
テレビを観ながら、音楽を聴きながら、何かのついでに行うと無理なく続けやすいのでおすすめです。
■更年期の疲れには漢方もおすすめ
更年期の疲れには、漢方薬によるアプローチもおすすめです。
漢方薬は、「肉体的な疲れ」に対して足りない栄養を補うだけでなく、消化・吸収の機能をよくして必要なところに栄養を届け、根本から肉体の疲れやだるさの改善を目指すことが可能です。
また、「精神的な疲れ」には、「自律神経を整える」「睡眠の質を上げる」といったはたらきのある漢方薬を選びます。
疲れやすい方におすすめの漢方薬
おすすめの漢方薬を2つご紹介します。
加味帰脾湯(かみきひとう)
虚弱体質で血色の悪い方に向いている漢方薬です。精神を安定させることで、不眠、不安、神経症に用いられます。
加味逍遙散(かみしょうようさん)
疲れやすくイライラしがちな方に向いている漢方薬です。自律神経の乱れを整えるので、ホットフラッシュ、神経症などの更年期障害にも使用されます。
慢性的に疲労感が気になる場合には、中長期的な服用で体質からの改善を目指しましょう。
また、漢方薬と体質には深い関係があります。「慢性的な疲労を感じる」「よく眠れない」といった同じ症状でも、体質によって適切な処方は異なります。体質に合った漢方薬でないと、よくなるどころか、副作用が起きる場合もあります。
漢方を服用する際は、漢方の専門家である医師や薬剤師にきちんと相談しましょう。
■睡眠・食事・運動を見直し、疲れやすいからだを改善しよう
からだや心にさまざまな変化が起きる更年期。「以前はこんなことなかったのに……」と戸惑ってしまいますよね。
解説したように、睡眠・食事・運動を見直し、日常生活の過ごし方を少し変えるだけでも、疲れやすいからだをよい方向に改善できます。
更年期は誰にでもやってくるものです。あまり深刻に考えすぎず、おおらかな心で過ごすことも大事です。
【監修医:横倉恒雄(よこくらつねお)先生 プロフィール】
医学博士/医師(婦人科、心療内科、内科など)。横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長。東京都済生会中央病院に日本初の「健康外来」を開設。故・日野原重明先生に師事。病名がないものの不調を訴える患者さんにも常に寄り添った診療を心がけている。新刊本『今朝の院長の独り言』(青春出版社)は10万人の患者が癒されたポジティブなメッセージに溢れていると話題に。
【漢方部分監修者:木村英子(きむらえいこ)さん プロフィール】
薬剤師/臨床検査技師/Vedic Healers Ayurveda basic course 修了。検疫所、病院にて公衆衛生・感染症現場を経験した後、インドでアーユルヴェーダに出会う。現在はAIを活用し、お手頃価格で漢方を自宅に届けてくれるあんしん漢方にて活躍中。
【前回の記事】
・体調不良の原因は水分!?「湿邪」を解消する方法
・放置はNG!更年期世代がすべき「梅雨冷え」対策
・更年期世代は要注意!おりもので分かる不調
・40代以降に急増!下肢静脈瘤の原因と対策
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