なぜか声がかすれる!放ってはいけない理由&対策
つやプラ / 2023年8月2日 12時0分
年齢を重ねるとともに、「声のかすれ」が気になる……ということはありませんか?
40・50代はからだが大きく変化する年代。しかし、声のかすれといったような、些細な症状で病院に行くのは気が引けてしまうという方は少なくないでしょう。
今回は、横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長の医師、横倉恒雄先生、および薬剤師/臨床検査技師の木村英子さんに、更年期と声のかすれの関係や放置してはいけない理由、簡単に行える対策方法について教えていただきました。
■更年期の声のかすれのメカニズム
閉経前後の10年間、女性は更年期と呼ばれる時期を迎えます。からだのさまざまな部分に影響を及ぼしますが、声帯も例外ではありません。
更年期になると、女性ホルモンのエストロゲン(卵胞ホルモン)が減少し、血流が悪くなります。
このとき、のどの奥にある声帯がむくんで太くなると、声のかすれや低音化の原因になるといわれています。
また、肺活量や筋肉量、唾液の減少などの加齢による影響も相まって、声に変化が生じてしまうのです。
■声のかすれに注意すべき理由
声のかすれは女性ホルモンの減少だけが原因とは限らず、加齢性音声障害からきていることもあります。
加齢性音声障害は、加齢によって声帯を動かすのどの筋力が低下したり、声帯が硬くなったりするために、声のかすれや発声のしにくさなどの症状があらわれます。
のどの筋力が低下すると、誤嚥(ごえん)も起こしやすくなるため注意が必要です。加齢や生活習慣によって肺機能が低下している場合、誤嚥性肺炎を引き起こす危険性があるため命に関わります。
また、声を出しにくいせいで、人との会話に消極的になってしまうこともあるでしょう。すると、孤独感が強まったり社会的に孤立したりしやすくなるため、認知症のリスクが高まる危険性も示されています。
その他、甲状腺の病気にも声かすれの症状がみられることがあります。
甲状腺腫瘍や橋本病などが隠れていることもあるため、異変を感じた場合はそのままにせず、耳鼻咽喉科を受診しましょう。
■声のかすれへの対処法3つ
声のかすれについての対処法を3つご紹介します。
(1)積極的な会話
のどをまったく使わない状態は、運動不足のようなものです。積極的に会話をすることは、のどの運動になります。
ボソボソ喋らず、正しい発音でハキハキと喋るのもポイントです。
無理をしすぎない程度にカラオケもいいでしょう。
人と会う機会が少ない場合は、新聞や本の朗読もおすすめです。
(2)声帯トレーニング
声帯萎縮の改善方法として、音声自己訓練法という声帯トレーニングがあります。
(1)イスに座り、両端をしっかり握る。
(2)数字の1~10までをカウントする。
(3)(2)を、30秒くらいかけて行う。
声を出す瞬間は、からだに力を入れ、胸を張ります。数字はひと言ずつ、短くハッキリと発音してみましょう。声帯だけでなく、声帯を動かす筋肉を鍛えることができます。
ただし、専門的なトレーニングのため、必ず耳鼻咽喉科の医師やかかりつけ医などの指示のもとに行ってください。
(3)のどのケア
声帯に乾燥は禁物です。
なるべく潤いを意識して、夏場は水やお茶で小まめに水分補給し、乾燥しがちな秋冬はマスクでケアすることも忘れずに。加湿器もおすすめです。
また、飲酒や喫煙など、のどにとってストレスになる習慣は見直しましょう。
■更年期からくる声のかすれには漢方もおすすめ
更年期による声のかすれには、漢方薬も適しています。
冒頭でご説明したとおり、更年期になると加齢による声帯の筋肉の衰えに加えて、女性ホルモンの減少で声帯がむくんだり緩んだりして声がかすれやすいと考えられています。
また、のどの乾燥やストレス、過労、風邪なども、声がかすれる原因となります。
更年期の声のかすれ対策には、「女性ホルモンや自律神経の乱れを整える」「水分の循環をよくして粘膜に潤いをあたえる」「免疫力を高める」などの働きのある漢方薬を選び、根本改善を目指します。
声のかすれにおすすめの漢方薬
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
のどのかれや、つかえなどの違和感に使用される漢方薬です。不安や緊張などによる神経の昂りを鎮めて、こころとからだを落ち着かせてくれます。
麦門冬湯(ばくもんどうとう)
のどの乾燥や咳に使用される漢方薬です。のど、気管に潤いを与えることで、声がれや口の渇き、のどの痛みに働きかけます。
漢方薬は、それだけでは効果を発揮せず、適切な診断と処方があってこそ症状の緩和や改善が目指せます。漢方で重要視されるのは体質や、漢方薬との相性です。自己判断せず、医師や薬剤師による処方を仰ぎましょう。
■日々の過ごし方を見直し、のどのかすれを改善しよう
声のかすれには、更年期が原因の場合と、別の病気が原因の場合があります。
日常生活のなかで声を積極的に出し、季節の気温の変化に気を配るなど、のどの状態を健康的に保つことを意識しましょう。
また、あまり深刻に捉えすぎないこともストレスをためないコツです。前向きに素敵な毎日を送っていきましょう!
【監修医:横倉恒雄(よこくらつねお)先生 プロフィール】
医学博士/医師(婦人科、心療内科、内科など)。横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長。東京都済生会中央病院に日本初の「健康外来」を開設。故・日野原重明先生に師事。病名がないものの不調を訴える患者さんにも常に寄り添った診療を心がけている。新刊本『今朝の院長の独り言』(青春出版社)は10万人の患者が癒されたポジティブなメッセージに溢れていると話題に。
【漢方部分監修者:木村英子(きむらえいこ)さん プロフィール】
薬剤師/臨床検査技師/Vedic Healers Ayurveda basic course 修了。検疫所、病院にて公衆衛生・感染症現場を経験した後、インドでアーユルヴェーダに出会う。現在はAIを活用し、お手頃価格で漢方を自宅に届けてくれるあんしん漢方にて活躍中。
【前回の記事】
・手汗が止まらない!医者が解説する原因&対策
・顔のたるみは舌が原因!?正しい舌の位置
・夏のホットフラッシュに!医師が教える対策3つ
・更年期の不調は栄養不足から!?積極的に摂るべき栄養
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