放置はNG!?更年期の「耳鳴り」の特徴&対策
つやプラ / 2023年8月18日 12時0分
耳鳴りは、40・50代の女性によくみられる更年期症状のひとつです。
ひどくなると日常生活に支障をきたすこともあり、なかには思わぬ病気が隠れていることもあります。
今回は、横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長の医師、横倉恒雄先生、および薬剤師の碇純子さんに、更年期の耳鳴りの特徴と対処法について教えていただきました。
■更年期の耳鳴りの特徴
耳鳴りは、耳の中で「キーン」という高音や、「ザー」「ジーン」という低音が聞こえる症状です。
更年期の耳鳴りは症状が軽いことも多いですが、ストレスがあるときや、疲れたとき、イライラしているときなどに症状が強くなることがあります。
また、更年期は耳鳴りとめまいが同時に起こりやすいのも特徴です。
更年期は、景色がぐるぐると回転するような感覚のめまいが多く、吐き気をともなうこともあるため、不快感やストレスを強く感じます。
■更年期の耳鳴りはなぜ起こる?
更年期は、女性ホルモンの分泌量が急激に減少する時期です。
ホルモンの急激な変化は、からだ全体の機能をつかさどっている自律神経のバランスを崩してしまうため、さまざまな不調を引き起こします。
耳鳴りも、この自律神経の乱れによる症状のひとつです。
耳鳴りは脳の過剰な反応で起こるといわれています。実際に鳴っている音が聞こえているのではなく、音が鳴っているように感じているのです。
ストレスや疲労によって耳鳴りの症状が強くなるのは、不安なことに意識が向きやすくなる為といわれています。
■更年期の耳鳴りは放置せずに受診を
耳鳴りは、次のような病気の症状としてあらわれていることもあります。
・突発性難聴
・メニエール病
・高血圧症
突発性難聴やメニエール病は、耳鳴りとともに難聴が進むため、早期受診が大切です。
高血圧症による耳鳴りの場合は、脳卒中や心筋梗塞などの重篤な病気の兆候かもしれません。
また、耳鳴りによる不快感やストレスが悪循環となっている場合も、適切な対処が必要です。
症状が気になったら、まずは耳鼻咽喉科で相談してみてください。
■更年期の耳鳴りのセルフケア
病院で検査をしても異常がなかった場合や、軽度の耳鳴りの場合は、セルフケアで改善が見込めることもあります。具体的な方法を紹介しますので、参考にしてください。
ストレスや疲労を溜めない
耳鳴りはストレスや疲労によって悪化するため、まずは心身のケアを行いましょう。
余裕のあるスケジュールで、ストレスや疲労がたまらない生活を意識してみてください。
寝る前にホッとできるリラックスタイムや、好きなことを楽しむ時間を設けるのも大切です。
また、質のよい睡眠をたっぷりとることや、適度な運動、栄養をバランスよく摂るなど、からだの健康へのアプローチも忘れずに意識してください。
ツボを刺激する
からだのツボは内臓と連動しているため、皮膚の上から刺激することで、不調の緩和が期待できます。
ツボを押すときは、刺激の強さに注意してください。気持ちいいと感じる程度の強さで押しましょう。
耳鳴りには、次の2つのツボを刺激してみましょう。
聴宮(ちょうきゅう)
耳穴の前方、小さな突起の前あたりの開口時にくぼみができる箇所。
耳門(じもん)
両耳の穴の前方にあるやわらかい突起の前あたり。聴宮の少し上。
漢方薬を飲む
耳鳴りには、漢方薬の服用もおすすめです。
漢方薬のなかには、「耳鳴り」に効果が認められているものもあり、耳鼻咽喉科などで処方されています。自然成分がからだにやさしく働く漢方薬は、症状を解決するだけでなく、根本的な体質改善も目指せるでしょう。
更年期の耳鳴りの改善には、「ホルモンバランスの乱れを整える」「血流をよくして内耳や神経の機能を回復する」「自律神経を整えてストレスによる耳鳴りを改善する」「水分の循環を促し、内耳のむくみをとる」などの作用がある生薬を含む漢方薬を選びます。
毎日飲むだけなので、手軽にからだの不調を整えることができるのも漢方薬の魅力。耳鳴りの不快感が解消されると、毎日の家事や仕事もぐっと楽になるでしょう。
耳鳴りにおすすめの漢方薬
七物降下湯(しちもつこうかとう)
栄養と潤いを補い、熱を抑えることで、高血圧に伴う耳鳴り、肩こり、頭重を改善します。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
栄養と潤いを補うとともに、からだの水分代謝を整えて、余分な水分を尿として排出することで、耳鳴りの他に冷えやむくみも改善します。
慢性的な耳鳴りに悩んでいる場合は、中長期的な服用で体質からの改善を目指しましょう。
ただし、漢方薬は体質との相性によっては効果が感じられなかったり、副作用が生じたりすることがあります。そのため、初めて漢方薬を飲む場合は専門家に相談して選ぶようにしましょう。
更年期の耳鳴りは、不快な感覚をがまんすることで症状が悪化する場合もあるので、早めに対処しましょう。セルフケアや漢方薬なども上手に取り入れて、心地のいい快適な毎日を取り戻してくださいね。
【監修医:横倉恒雄(よこくらつねお)先生 プロフィール】
医学博士/医師(婦人科、心療内科、内科など)。横倉クリニック・健康外来サロン(港区芝)院長。東京都済生会中央病院に日本初の「健康外来」を開設。故・日野原重明先生に師事。病名がないものの不調を訴える患者さんにも常に寄り添った診療を心がけている。新刊本『今朝の院長の独り言』(青春出版社)は10万人の患者が癒されたポジティブなメッセージに溢れていると話題に。
【漢方部分監修者:碇純子(いかりすみこ)さん プロフィール】
薬剤師・元漢方薬生薬認定薬剤師/修士(薬学)/博士(理学)。神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いから、オンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。
【前回の記事】
・なぜか声がかすれる!放ってはいけない理由&対策
・手足が熱くて眠れない!意外な原因&改善法
・更年期の寝汗に注意!放ってはいけない理由&対策
・手汗が止まらない!医者が解説する原因&対策
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