ビジネスから趣味まで。自分のスキルで暮らしていくためのシェアリングサービス

lifehacker / 2019年11月19日 6時30分

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『いまこそ知りたいシェアリングエコノミー』(長田英知 著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)の著者は、Airbnb Japan株式会社執行役員。

大学卒業後に入社した生命保険会社を1年半で退職後、25歳で市議会議員に。そののち政治家から戦略コンサルタントとなり、2017年から現職に就いているそうです。

コンサルタント職を離れて、宿泊施設の貸し借り(シェア)を個人間で行うネットワークサービスを提供するAirbnb Japan(エアビーアンドビージャパン)に参画したのは、「シェア」という考え方と、それに基づき設計された新しい経済システムは、この社会変化の中で多様な生き方を実現するための基盤となるだろうと考えたからです。(「はじめに」より)

現代においては、限られた人的資源と投資マネーで付加価値を生み出すため、従来的な大規模投資を行って新たなインフラをつくっていくことは非現実的。

それよりも重要なのは、いまある資産をシェアという概念で蘇らせ、より少ない投資によって新しい事業を始める仕組みや働き方を推進していくこと。

そうすれば、新たな活路を確実に見出せるということです。

シェアが一般的になれば、会社員も本業以外で収入を得られる選択肢を、コストをかけずに確保することができるでしょう。

フルタイムの仕事ができない人も、過去の経験やスキルを活かし、空いている時間を利用してお金を稼ぐことが可能になるかもしれません。

そればかりかシェアには、人と人をつなぎ、新たなコミュニティを生み出すというメリットもあります。

つまり、さまざまな意味で社会の新たなセーフティネットになるということ。そこで本書では、シェアをさまざまな角度から検証しているわけです。

たとえば第2章「舎衛の可能性を知る」では、新しいシェアの種類として「音楽・映像のシェア」「不動産と移動手段のシェア」「個人スキルのシェア」を挙げています。

きょうはそのなかから、「個人スキルのシェア」に注目してみたいと思います。

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スキルの共用とは?

スキルのシェア(共用)の好例として著者が挙げているのが、海外のスキル共用にサービスを提供しているUdemy(ユーデミー)です。

2010年にスタートしたe-ラーニングのプラットフォームを提供するサービスで、現在、10万以上のコースが登録され、2400万人が受講生として学んでいます。

学習内容もビジネスやプログラミング、アートなど多種多様。日本でも、単純な労働力の提供から専門スキルのシェアまで、幅広いスキルシェアのサービスを提供する事業者がいるといいます。

そんなUdemyの特徴は、個人でも講義資料さえ準備すれば、講師として情報を発信できること。その結果、有料授業を設定して収益を得ることができるわけです。

そして、専門家をマッチングするサイトとしての草分け的な存在が、ストリートアカデミーが運営するストアカ。

ビジネスから趣味の分野までの幅広い講座が登録された、Udemyに似たサービスです。

1回の受講料が数千円程度と、利用しやすい価格が設定されていることも魅力。2012年にサービスを開始し、現在の登録生徒数は32万人。

掲載講座数は3万件を超える規模となっているそうです。(118ページより)

さらに高度な人材をマッチング

一方、さらに高度な人材のマッチングを実現しているのが、2013年にサービスを開始し、現時点で8万人を超える人材がアドバイザーとして登録されているビザスク。

1時間からの面談もしくは電話でのアドバイスを受けることができ、手軽にサービスを提供したり利用したりすることが可能。

月刊案件数は1000件、1件あたりの平均謝礼額は1万5000円で、今後の広がりが注目されているわけです。

また、フリーランス向けのB2Cのクラウドソーシングサービスもまた、スキル共用サービスの一種。その代表例が、クラウドワークスとランサーズです。

2011年に創業したクラウドワークスは、2014年にマザーズ上場し、2018年には黒字転換。

ホームページやアプリ制作、ライターなど場所や時間を選ばずにできる仕事が提供されており、全国に散らばる279万人以上の会員が、200以上のカテゴリから仕事を選んでいます。

2008年にサービスを開始したランサーズは、277ジャンルの仕事に登録でき(2018年4月時点)、200万件以上の企業からの依頼実績が。依頼総額は2000億円を超えているといいます。

このように、スキルの共用サービスは日本でも大きく発展しているわけです。

その背景にあるのは、高齢化社会に伴う社会保障制度の行き詰まりや、企業の従来型の雇用制度の崩壊、そして働き方改革の影響。

だからこそ、限られた労働力を共用することで価値を生み出していくことは、これからの日本社会にとって重要だと著者は主張しているのです。(119ページより)

スキル共用サービスの課題

ただし、これらのサービスが順風満帆に事業を拡大しているかというと、必ずしもそうとは断言できない部分があるのも事実。現在はまだ、市場形成の過渡期であるということです。

たとえばメルカリは、スキルシェアサービスに一度参入したものの、短期間のうちに市場からの撤退を決めています。

クラウドワークスやランサーズなど、B2Cのクラウドソーシングサービスで成功している企業も、C2Cの共用サービスに参入したのち、早々に撤退しています。

コンテンツやリソースのように、有形で目に見える価値共有とは違って、スキルは個人が持っている無形の価値。

サービス利用者のニーズやレベル、あるいはサービス提供者のコンディションなどの影響を受けやすいだけに、体験価値の「揺らぎ」が生じやすいということ。それもまた、共有サービスの特徴となっているわけです。

それだけでなく、スキルの共用が社会に浸透していくためには、会社との関係においてクリアするべき部分も。

たとえば高度なスキルを持つ人材が、そのスキルを現在勤務している会社で身につけたとします。

だとすれば、そのスキルを共用サービスとして提供した場合、会社がそれを「技術の漏洩」に該当すると判断する可能性も否定できないということ。

このように、本業・副業のあり方をどう考えることも、スキルの共用においては重要な論点になるのです。

そういう意味では、まだまだクリアにすべき課題が多く残されているともいえるのでしょう。

ただここで強調しておきたいことは、スキルの共用は、コンテンツやリソースの共用に負けず劣らず、大きな可能性を秘めているということです。(122ページより)

たとえば、イタリアンのシェフが、食品メーカーと協業して新しいパスタソースの商品を開発することも、広い意味においてはスキルの共用。

その場合は、パスタソースの売上に応じた継続的な手数料を得られる報酬モデルが可能になります。

つまりスキルの共用は、それを社会・企業・本人にとっての「三方よし」のかたちで進められれば大きな価値を持つようになるということです。(121ページより)

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シェアがこれからの時代のスタンダードとなっていく理由を筆頭に、舎衛が可能にするライフスタイルやワークスタイルについて、さらには教養経済の確立に向けてすべきことなどをわかりやすくまとめた内容。

シェアリングエコノミーが把握できるため、とても役に立つ一冊であるといえます。

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Photo: 印南敦史

Source: ディスカヴァー・トゥエンティワン, Udemy, ストアカ, ビザスク, クラウドワークス, ランサーズ

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