今年も無理?空振り続く村上春樹ノーベル賞騒動に書店員が切実な思い

リテラ / 2014年10月8日 12時0分

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 村上春樹がノーベル賞文学賞の候補だといわれるようになってから、何年がたつだろう。毎回、「今年こそ選ばれるのでは」と盛り上がり、結局、空振りに終わるという繰り返し。最近はもう無理なんじゃ......という諦めムードも漂い始めたが、他に候補者もおらず、マスコミも出版社もこの前夜祭をやめるわけにはいかない。おそらく今年も何日も前から、出版社は増刷の準備に取りかかり、新聞やテレビは取材準備に走り回っているはずだ。

 そんな"春樹ノーベル賞前夜祭"だが、最近、書店員の目でこの騒ぎを綴ったおもしろい文章を見つけた。『書店不屈宣言』(筑摩書房)。40年以上にわたって書店で働き、現在はジュンク堂池袋店で副店長をつとめるベテラン書店員・田口久美子さんが同僚の書店員にインタビューしながら、書店や紙の本への愛情を綴った一冊だ。

 同書によると、書店員もノーベル賞とは無関係でいられないらしい。春樹が候補になるたびに、「村上春樹・祝ノーベル賞」コーナーを準備する。看板を作り、村上本の事前注文をする。文庫、単行本をあわせると、結構な点数になるという。同書には、村上春樹が候補になった最初の年、田口さんと文芸書担当の同僚との間でこんな会話があったことが紹介されている。

「事前に注文しましょう。ノーベル賞が取れなくても、村上さんだから、ストックで持っても、いつか売れるから」
「でももう売り尽したんじゃないでしょうか。何百万売れたか分からないほどのベストセラー作家ですよ。いくらノーベル賞でもこれ以上売れますか?」
「それが、売れるんですよ。大江(健三郎)さんの時も、すごかった、あれよあれよという間に在庫切れでしたよ。ノーベル賞は特別なの、今まで読まなかった人が読んでくれるの、読んだ人より読んでない人のほうが圧倒的に多いんだから、日本の人口を考えてみてよ。それに読んだ人も読みもらしの本を買ってくれる」

 そう。作家がノーベル賞を受賞したら、本が売れるのだ。書店員はそのチャンスを逃さないよう万全の準備をしなけばならない。「今年こそ村上さん」と噂が走るたびに新潮社や講談社、文藝春秋など大手出版社の文芸書版元に注文が殺到するらしい。

 もうひとつ、ノーベル賞騒動で書店員が巻き込まれるのがマスコミ対応だ。発表日が迫ると、テレビ局や新聞社から撮影依頼の電話がじゃんじゃんかかってくるのだという。

「コーナーつくりますか? どのくらいの規模で? 看板はつけますか? 受賞が決まったら、どんなふうに本を置きますか」

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