運転手いない車が動き出し「死傷者」誰がどんな罪に?

シェアしたくなる法律相談所 / 2014年4月3日 17時51分

写真

島根県松江市で運転手がいない車が勝手に動き出し高齢の夫婦を巻き込んで死傷者を出してしまった事故がありました。

事故当時、車には小学生が乗っていましたが運転席には誰もいない状態だったとのことです。

今回はこの事故について、誰がどんな罪になるのか、検討してみたいと思います。

運転者がいない車がひとりでに動き出すケースとしては、(1)エンジンをかけたまま運転席を離れたところ、AT車(オートマチック車)のギアが「D(ドライブ)」モード、あるいは「R(リバース)」モードに入ったままで、サイドブレーキが不十分であったケース、(2)坂道で駐車ないし停車していたところ、ギアがニュートラルのままでサイドブレーキが不十分であったケースなどが考えられますが、いずれも自動車の運転者が、運転上必要な注意を怠ったケースですので、動き出した車が物や人に衝突し、あるいは転落等により人を死傷させた場合は、自転車運転過失致死傷罪(改正後の「過失運転致死傷罪」)が成立し、運転者は、7年以下の懲役もしくは禁錮又は100万円以下の罰金に処せられます。

先例では、海近くの下り勾配の坂付近に、AT車を、エンジンをかけたまま停車した運転者が、ギアを「P(パーキング)」に入れずに運転席を離れ、介助を必要とする実母を助手席に乗車させた後、運転席に戻る途中、車が突然動き出し、海に転落して実母を死亡させた事案で、自転車運転過失致死罪の成立を認めたものがあります(大阪地方裁判所堺支部平成24年9月13日判決)。

このほかにも、バスの運転手が駅のロータリーにバスを停車させ、エンジンをかけたまま運転席を離れたところ、バスがひとりでに動き出し、乗客が負傷した事故や、運転手のいない軽乗用車が、突然後ろ向きに坂を下り出し、高齢者2名を車の下敷きにして死傷させた事故などが報道されています。いずれも同様の罪に問われる可能性があります。

道路交通法では、車両は、坂の頂上付近や勾配の急な坂に駐車又は停車させてはならないこととされ、違反者には罰則が科せられます(同法44条1号、119条の2)。

また、国家公安委員会が定める告示(交通の方法に関する教則)では、運転者が車から離れるときは、車が暴走しないよう、「エンジンを止め、ハンドブレーキを掛けること。」、「ギアは、平地や下り坂ではバック、上り坂ではローに入れておくこと。オートマチック車では、チェンジレバーをPに入れておくこと。」、「坂道では、輪止めをすること。」が求められています(告示第5章の第8節「駐車と停車」のなかの第10項「車から離れるときの義務」を参照)。

最近では、踏切待ちの車の運転手が、近くのポストに手紙を出すためエンジンをかけたまま運転席を離れたところ、車が突然動き出し、踏切に突入して列車と衝突した事故がありました。幸いこの件では、死傷者は出ませんでしたが、大事故につながりかねない危険な行為ですので、運転者は十分に注意しなければなりません。

*参考:FNNニュース: 運転手のいない車が動…

シェアしたくなる法律相談所

トピックスRSS

ランキング