弁護士が語る法律の穴…その存在に気づくことはある?

シェアしたくなる法律相談所 / 2014年5月12日 12時2分

写真

読者の皆様は法律というとどのような印象をお持ちでしょうか。堅苦しい難しそうというイメージに加えて不備なく完璧に作ってあるというふうに思っておられる方が多いのではないでしょうか。

今回は「法律の穴」はあるのかをご紹介します。

■法律の制定過程

中学や高校の授業で習ったとおり法律は立法機関である国会の議決で制定されます。しかし実は国会に提出される法律案の素案は基本的には国会議員の意向を受けて各省庁の官僚スタッフが作成しています。

また提出前には内閣法制局で文言や他の法律との整合性を厳しくチェックすることになっています。

このように法律は法律案作成のプロである官僚や内閣法制局で公用文作成のルールという法技術的な約束が守られているか矛盾点や漏れがないか厳重にチェックされた後国会に提出されることになっているので原則として本来あるべき条項が漏れていたり立法者が規制しようとした行為が日本語の不備で規制対象となっていなかったりといった事態はまずありません。

したがって法律の穴はほとんどないといえるほど法律は緻密に制定されています。

ちなみに誤字脱字もまず見かけません。

■法の抜け道・脱法

「法律の穴らしきもの」は存在します。脱法ドラッグや近時話題となったビットコインを規制する法律がないことは広い意味で「法律の穴らしきもの」といえます。

ただし一見すると本来規制されてしかるべき行為やものが禁止されていない場合裁判実務ではこれを法律の穴ではなく「禁止しないのが法の意図」とみるのが通常です。

少し視点を変えてみると法律の文言が抽象的・多義的であるために「法律の穴らしきもの」であるように見えることもあります。これも抽象的に規定しないとかえって規制対象に漏れが生じるためにあえてそうしていることが多いです。抽象的・多義的な規定があっても裁判所,検察官,弁護士あるいは法学者らによる解釈運用で補えるためです。

■まとめ

結論からいって法律制定過程の不備による「法律の穴」というものはまずありませんが,条文が曖昧だったりすることで一見法の抜け道が残っているように見えることはあります。しかしこれについては法律がそもそも規制しない意図であると考えられ,不都合があれば裁判所等の解釈運用で適宜補えるためやはり「法律の穴」とはいえないでしょう。

*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)

シェアしたくなる法律相談所

トピックスRSS

ランキング