「忘れられる権利」が話題に 日本でも認められる?

シェアしたくなる法律相談所 / 2014年5月16日 21時2分

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EUの最高裁が米検索大手Googleに対し、スペイン人男性が自分の過去の不名誉な情報へのリンクを検索結果から削除するよう求めた請求を認める判決を出したことが話題になっています。

いわゆる「忘れられる権利」を認めたものであるとして、大きく報じられたため目にした方も多いのではないかと思います。

では、日本において「忘れられる権利」は認められるでしょうか。この判決の意味と日本における現状について検討してみましょう。

■「忘れられる権利」とは何か

「忘れられる権利」とは、簡単に言えば、インターネット上から情報が削除されることで、それ以降、第三者に当該情報を探索されない権利のことです。

日本では「忘れられる権利」があると判断されたことはありませんが、プライバシー権の一類型として整理することができます。

プライバシー権の保護が与えられる情報というのは、伝統的な考えに従えば、私生活上の非公表の事実に関する情報とされるところ、忘れて欲しい情報というのは過去の不名誉な情報ですから、少なくともいったんは公開されているものは、これに当たらないことになります。

しかし、プライバシー権を「自己情報コントロール権」として理解すれば、過去の事実に関する情報をプライバシー権の範囲に含めることができるようになります。そこで、自己情報コントロール権の一類型として「忘れられる権利」を位置づけることができると思われます。

■日本でも過去の事実のインターネット上からの削除は認められる

現状でも過去の不名誉な情報の削除は、一定の要件を満たす場合に認められています。

たとえば、新しく形成している社会生活の平穏を害されその更生を妨げられる場合には、インターネット上に掲載されている過去の犯罪報道の削除が認められる余地があります。

このことを敷衍(ふえん)すれば、一定の範囲で、実質上の「忘れられる権利」を実現し得るといえます。

■違いは“一括性”にあり

では、「忘れられる権利」と現状日本で実現できている権利行使とは何が違うのでしょうか。

「忘れられる権利」についての事例の積み重ねがないためはっきりとは言えませんが、おそらく個々のウェブサイトに対して削除を請求し得るのかという点と、検索エンジンに対して検索結果から削除するよう請求し得るのかの違いにあるように思われます。

「忘れられる権利」が認められれば、不名誉な情報が記載されたウェブサイトが大量にある場合、検索エンジン側のみを相手にすれば、当該ウェブサイトへのアクセスを一括して大幅に減らすことができるという点がメリットと思われます。

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