辞めさせてくれない会社を辞めるには…対処法を弁護士が解説

シェアしたくなる法律相談所 / 2014年7月15日 12時2分

写真

最近浸透してきた「ブラック企業」と呼ばれる会社では、人材の使い捨てが横行していて、些細なことでクビになるという話をよく聞きます。

しかし、他方で、辞めたくても辞めさせてくれない会社も多く、こういう会社も「ブラック企業」というカテゴリーに入れてよいと思います。

具体的には、退職を申し入れた労働者に対して、「引継ぎを終了するまで辞めさせない。」、「引継ぎ未了で退職したら、損害賠償請求する。」等と言って、労働者を脅す会社なんかがまさにそうですね。

では、運悪く、このような会社に入社してしまった労働者が退職を希望する場合、どのようにすればよいか、以下に解説していきます(なお、以下では、会社が退職に合意する「合意退職」の場合は想定していません)。

■1…退職の申し出期間

まず、会社が労働者を解雇する場合と異なり、労働者が自発的に退職する場合には、解雇権濫用法理(労働契約法16条)や予告期間に関する規定(労働基準法20条)の適用はなく、民法627条、628条の規制を受けるにとどまります。

この民法の規制は雇用契約に期間の定めがあるかどうかで大きく異なり、期間の定めのある雇用契約では、原則として期間終了まで退職することはできず、「やむを得ない事由」がある場合に限って直ちに退職できます。ここにいう「やむを得ない事由」とは、例えば、重大な病気を患って労務を提供できなくなるような場合なんかがあてはまりますね。

次に、期間の定めのない雇用契約においては、退職の意思表示をしてから2週間経過後に退職可能です。ただし、月給制の場合、賃金の支払い計算期間の前半に退職を申し出るとその期間満了後に退職できますが、後半に申し出た場合は次の支払い計算期間の満了までは退職できないという規制があることに注意が必要です。

では、就業規則に上記の民法の規定と異なる退職のルールが定められている場合はどうでしょうか?この場合、上記規定より短い申し出期間が定められている限り、労働者にとって有利ですから特に問題になりません。他方で、上記規定よりも長い申し出期間が定められている場合には、その分、労働者の退職の自由が制限されるわけでして、民法と就業規則のどちらが優先するか問題になります。

この点について、東京地方裁判所の昭和51年10月29日判決(高野メリヤス事件)は「民法第627条の予告期間は、使用者のためにはこれを延長できない」と判示しており、民法が優先する(就業規則で民法よりも長い申し出期間を定めても無効)としました。もっとも、民法627条は任意規定である(そう解すると、就業規則が優先する)とする見解も有力であり、この点は最高裁判例の登場が待たれるところです。
いずれにせよ、就業規則で退職の申し出期間を「1年前」等と極端に長く定めても、同規定は公序良俗に反し、無効になると言われています。

  • 前のページ
    • 1
    • 2
  • 次のページ
シェアしたくなる法律相談所

トピックスRSS

ランキング