「撮り鉄」の顔写真を400枚ばらまいた少年らは「何罪」か

シェアしたくなる法律相談所 / 2014年9月25日 21時4分

写真

電車内で無断撮影した男性の写真が約400枚ばらまかれるいう事件が大阪でありました。

男性は鉄道写真を撮る際に割り込みをするなどマナーが悪かったため、腹を立てた少年らがこっそり撮影し、いたずら目的でビル10階から顔写真をばらまいたということのようです。写真には、座席に座って携帯電話を操作している姿や、顔を拡大したものなどがあったようです。

警察は少年らを任意で事情徴収しているということですが、ネットでは「何かの犯罪になるの?」などの声もあがっています。このようなばらまき行為に法的な問題はないのか、検証してみます。

■写真をばらまくだけでは犯罪ではない

このような行為は一般的に迷惑行為であるということに異論はないと思います。

しかし、驚くかもしれませんが、単に写真をばらまく行為は刑法で罰せられる行為であるということは難しいです。罪に当たる行為というのは、法律に定められていなければいけないのですが(これを罪刑法定主義といいます)、このような類型のものは定められていません。

また、大阪府迷惑防止条例も確認してみましたが、該当するものはないようです。

もっとも、写真をばらまく行為が何ら罪に問われないかというと、そうではありません。

■道路交通法違反になる可能性がある

道路交通法は、「公安委員会が、道路における危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為」を禁止しています。

そして、このような行為の1つとして、大阪府道路交通規則では「みだりに交通の妨害となるように物を捨てる」行為を定めています。

本件では、ビルの屋上から、交通量の多い大阪駅ビル前の路上に400枚もの大量の写真がばらまいたようですので、たとえば、運転者の視界を遮ることもあったのではないかと思います。

そのため、道路交通法違反に当たる可能性があります。

■写真撮影、ばらまき行為は肖像権・プライバシー権の侵害

ところで、少年は写真を勝手に撮影さればらまかれたわけなので、撮影してばらまいた人は、少年の肖像権を侵害していることになります。
肖像権には、みだりに撮影をされない権利や、撮影されたものをみだりに利用されない権利を含むと解されるからです。
また、このような行為はプライバシーの侵害でもあります。

そのため、これらの行為をした人は損害賠償をする必要があるということになります。

■SNSでの拡散行為も同罪

そして、今回の件では、ばらまかれた写真を通行人などが撮影して、SNSで拡散もされているようです。実際にこの件に関するまとめサイトでは、撮影された写真なども確認できます。

SNSで拡散している人は、被害に遭っている少年の被害を拡大させているわけです。悪意はないのかもしれませんが、権利を侵害していることに変わりはありません。

したがって、拡散している人も理論的に肖像権侵害、プライバシー侵害になります。

実際上は、誰が拡散しているかの特定も困難でしょうから、責任追及は難しいかもしれません。しかし、安易なSNSへの投稿にはリスクもあるということは理解しておくべきと思います。

*著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)

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