盗撮は別人、しかし校長と教頭はなぜ「証拠隠滅罪」に問われたのか

シェアしたくなる法律相談所 / 2014年10月11日 12時6分

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小学校の指導助手が校内の更衣室で女子児童を盗撮した事件で、校長と教頭が盗撮に使ったビデオカメラやSDカードなどを隠していたという報道がありました。

今回は校長と教頭が「証拠隠滅罪」に問われることになりました。しかし、校長と教頭は盗撮した本人ではありません。では何故、証拠隠滅に当たるとして書類送検されたのでしょうか。

この罪はどのような場合に証拠隠滅が成立するのか、また、他の罪が成立する余地はないのかを見て行きましょう。

■証拠隠滅罪(刑法104条)

証拠隠滅罪が成立するためには、「他人の刑事事件」に関する「証拠」を「隠滅」することが必要です。

「他人の刑事事件」とは自分以外の者の刑事事件のことで、裁判に至っていないものや、警察による捜査が開始する前のものも含まれます。

意外に思う人もいるかもしれませんが、自分の刑事事件に関する証拠は含まれませんが、これは自分の事件を隠そうとするのは、いわば普通の行動である以上、それを罪とはしないとされています。

本件では、校長と教頭が盗撮をしたわけではないので、「他人の刑事事件」に当たることは問題がないと思います。

次に、「証拠」とは刑事事件に関する証拠で一切のものを指し、カメラやSDカードは盗撮という行為を直接に記録していたものと思われるので、証拠にあたるといえます。

「隠滅」とは、証拠そのものを滅失したり、隠して見つからないようにすることです。校長や教頭がどこに隠したのかは分かりませんが、警察の捜査で見つからないようにSDカードや隠していたのであれば、「隠滅」したといえます。

このように、校長と教頭には、証拠隠滅罪が成立するものと思われます。

なお、校長と教頭のそれぞれの役割は明らかではありませんが、両者は共犯になると考えられます。

証拠隠滅罪は、2年以下の懲役又は20万円以下の罰金となりますが、本件についてはおそらく起訴猶予となるだろうと思います。

■犯人隠匿罪(刑法103条)

犯人隠避罪は、「罰金以上の刑に当たる罪を犯した者又は拘禁中に逃走した者」を「蔵匿し又は隠秘」することです。

このように、犯人隠匿罪は、犯人自体をかくまうことを罰したものです。そのため、本件のように、カメラやSDカードを隠した行為については適用されないということになります。

*著者:弁護士 清水陽平(法律事務所アルシエン。インターネット上でされる誹謗中傷への対策、炎上対策のほか、名誉・プライバシー関連訴訟などに対応。)

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