そもそも「うちわ」に価値はあるの?弁護士が検証してみた

シェアしたくなる法律相談所 / 2014年10月25日 12時6分

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松島前法務大臣がうちわを配布したとして野党から厳しい追及を受け、とうとう辞任に追い込まれました。

追求された原因は「うちわの配布が禁止されている寄付にあたるでは?」という部分です。しかし、うちわに価値はあるのでしょうか。しかも配布していたのは紙の簡易的なうちわです。

そこで、今回は話題になっている公職選挙法及び公職選挙法で禁止されている政治家の寄付行為について解説したいと思います。

●公職選挙法とは

そもそも、政治家あるいは候補者は、自分の選挙区内の人に対し、一切寄付してはならないと公職選挙法で定められています。選挙区内の有権者に金品を渡せばまさに買収となり、公正な選挙は行えませんので、この規定は公正な選挙を行う上で極めて重要なものであることはあきらかです。この規定に違反した場合は、一年以下の禁固又は三十万円以下の罰金という罰則もあります。

なお、ここにいう「寄付」とは、「金銭、物品その他の財産上の利益の供与又は交付」と定義されておりますので、小渕前大臣が選挙区内の有権者に渡していたとされるワインなどは当然「物品の寄付」に該当します。

●うちわは物品か

問題なのは、うちわの配布が「物品の交付」に該当するか否かという点です。単なるチラシやビラを配布したということであれば、「物品」とは言えず、公職選挙法違反とはなりませんが、うちわは物品に該当するのでしょうか。

現在は特注品のうちわでない限り、うちわは使い捨てに近い状態ですので、実質的にはチラシと同じであるとして、「物品」にあたらないという考え方もあると思います。松島前大臣はおそらくこの解釈を取っていたのでしょう。しかしながら、うちわはチラシとは違い、あおいで風を送るという効用を有していますので、チラシと完全に同列に考えるのはやはり無理がありそうです。

参考までに、窃盗罪の裁判では、価格2銭ほどの石ころや消印済みの収入印紙を盗んだケースでも窃盗罪を認めた判例があります。もちろん、窃盗罪と公職選挙法違反は法律が異なるので単純に比較はできませんが、ただ、非常に価値の低いものでも裁判所は財物と認定していますので、そうすると、うちわは価値が低いから物品にあたらないという主張はなかなか通らないのではないでしょうか。

もっとも、うちわが財物かどうかということを国会の場で延々と争っていても、国民には何のメリットはありません。一国民としては、国会議員の先生方にはそんな低い次元の論争をするのではなく、もっと有意義で国民のためになる議論をしていただきたいと強く感じます。

*著者:弁護士 山口政貴(神楽坂中央法律事務所。サラリーマン経験後、弁護士に。借金問題や消費者被害等、社会的弱者や消費者側の事件のエキスパート。)

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