無罪確定後に犯行を自白しても「無罪のまま」…なぜ?

シェアしたくなる法律相談所 / 2014年11月13日 12時6分

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過去に殺人事件の罪に問われた後、無罪になった男性が最近殺人事件を起こし逮捕されました。

世間ではやっぱりやっていたのでは?などとまことしやかに囁かれていますが、もし、過去に無罪判決の出た事件の犯人だと自白した場合、その人はどう扱われるのでしょうか。再度裁判が行われ、有罪となることがあるのでしょうか?

■再度罪に問われることはない

憲法39条は、「何人も、…既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問われない。」と規定しています。

これは、一事不再理と呼ばれる原則を定めたもので、一度確定した無罪判決については、後で覆されないことを意味します。一時不再理の原則は、その名のとおり、無罪判決について「再度審理しない」ことを内容とします。

たとえ、有罪を示す新証拠が出てきたとしても、再審理自体が憲法で禁止されますので、無罪を覆すために改めて裁判をやり直すことはできません。

その結果、新証拠が出てきても無罪は無罪のままとなります。したがって、無罪確定した後に、犯人であると自白したとしても、無罪は覆りません。

■無罪のための再審は可能

よくニュースなどで、弁護団が無罪再審を求めているのを耳にしたことがあるかと思います。

憲法39条は、被告人の適正手続保障の観点から「既に無罪とされた行為について」再度の審理を禁止するものですから、「有罪とされた行為」について、再審を求めることは可能であり、実際、刑事訴訟法に基づく再審請求によって、有罪から無罪に変わった著名事件は多々あります。

■自白だけでは有罪にできない

自白偏重による不当な取調べを防止するため、憲法38条3項、刑事訴訟法319条2項は、自白以外に自白を補強する証拠がないと、有罪認定できない旨定めています。

仮に、無罪判決の後に自白しても、自白内容を裏付ける他の補強証拠がないと、やはり有罪判決はできません。

自白以外にも自白内容を裏付ける証拠があるのであれば、そもそも無罪判決にはならなかった可能性が高いと思われますので、一事不再理の原則がなくても、後から自白しただけでは、有罪認定は難しいでしょう。

*著者:弁護士 星野宏明(星野法律事務所。不貞による慰謝料請求、外国人の離婚事件、国際案件、中国法務、中小企業の法律相談、ペット訴訟等が専門。)

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